FRBRって何を決めているのだろう?その1―ざっくり編
目録の話を聞く機会にここ最近、恵まれているのですが、その中で「FRBR化」が周知の事実として議論が進められていて、言いようのない焦りを感じる次第でした。
そして今回、調べてみてこの「FRBR」というものは10年以上前に発表されていることを知り、焦りではなく危機感を感じた次第です。。いや1998年って私、義務教育中ですもの…(言い訳)
気を取り直してFRBRについてメモです。小分けに行きます。
文章をおこすことで理解しているので、悪しからず。
FRBRモデル
- 正式名称は「Functional Requirements for Bibliographic Records」で、IFLAが提唱した「メタデータの基本モデル」
- 書誌を記述する際、「Work」「Expression」「Manifestation」「Item」の4段階でとらえる
- 実体(entity)設定による観点をもつ
1.について
日本語では「書誌レコードの機能要件」と訳されています。
IFLA(国際図書館連盟)によって1997年に公表、翌年に刊行されました。2004年に日本語訳が発表され、ネット上で見ることができます*1。(09/02/17現在)
これはあくまで書誌データの概念モデルであり、目録規則ではありません。つまりメタデータをどのように書くのかではなく、「何に対してメタデータを書くのか」を定義し、根拠づけたものです。
これは目録が対象とする書誌的世界が拡大したことが一因としてあり、どのレベルで何を記述するかが、「利用者」という観点の下で構造化されていることが大きな意味を持っているようです。10年以上前に発表されましたが「FRBR化」は目録にとって大きな課題のようです。WorldCatをFRBR化する動きもあります*2。
また、この概念モデルの切り口として「利用者」が挙げられると思います。利用者が資料を発見し、識別し、必要な資料を選択し、入手することまでをこのモデルの範囲に含めています。
2.について
FRBRでは知的・芸術的内容のまとまりに対応する部分を「Work(著作)」として設定しています。これは「表現を限定しないで識別される作品」のことを指します。
そしてWorkあるものを通じて実現される(is realized through)「Expression(表現形)」があります。これは「Workを何らかの形で表現したもの」であり、文字や数字、音声や画像などで表現される単位です。
さらにExpressionをあるもののうちに具体化される(is embodied in)「Manifestation(体現形)」があり、「Expressionを何らかの媒体上に実現したもの」がManifestationとされます。つまり、紙やCDなどの電子媒体という物理的に形をもったものが当てはまります。
このManifestationを例示された(is exemplified by)もの、個別の一点一点を「Item(個別資料)」と呼びます。
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3.について
FRBRは記述対象を「実体(entity)」として設定し、実体のもつ「属性(attribute)」を描き出し、実体間に発生する「関連(relationship)」をもって書誌的事項を整理、モデル化しています。上記のWork、Expression、Monifestation、Itemは実体になります。実体はこれらだけではなくこの4つの実体は「第一のグループ」の実体です。英語の受動態であらわされたものが「関連」、それぞれの実体の特徴をあらわしたものが「属性」となります。