klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

大阪市立大学創造都市研究科 夏季連続シンポジウム(情報システム創成研究分野)

情報システム創成研究分野
日時:7月14日(火)18時30分〜
場所:大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル6F):ホール
タイトル:「Academic Webの可能性と課題−ARGの10年とacademicweb.jp構想」
講師:岡本真氏(ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)編集長/元Yahoo! JAPANプロデューサー)

大学院の入試説明会も兼ねたイベントでした。
岡本さんのお話を聞くのは2月のARGカフェ&フェスト以来です。メインの話者として聞かせていただくのは初めてです。

ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG)にて資料が後日、公開されるとのことですので、詳しくはそちらを参照ください。(このブログは基本文字です。)

1時間強の講演と質問というシンポジウムでした。前半はARGについて、そしてacademicweb.jpについての二本立てでした。

分野と分野を、市民と専門家をつなぐメディアとして誕生してから11年、現在は「広げよう、インターネットの学術利用」というビジョンのもとに活動されてます。web上で研究業績を利用することと、業績を作り上げることに一定の貢献を果たされてきました。
さらにARGはメディアからプラットホームへの転換、つまり、ARGカフェ&フェストにおけるオフラインでの「つなぐ」役割と、もう一つがacademicweb.jpというウェブの世界におけるビジネス展開へ転換するという構想と、それにむけての課題と可能性が紹介されました。

「入手と共有」「組織と個人」「成果と過程」という二項対立で説明されながら、後者が軽視されている現状を踏まえ、academicweb.jpではそれらを(両者とも)フォローするような仕組みがとられるようです。
基本となるコンセプトは、インセンティブデザイン(参加の動機付け)、ユーザビリティ、アグリゲート、インテリジェンス&インタラクション(研究から学ぶ)の四つが挙げられました。
自律的な持続可能性、商用利用禁止規定との兼ね合い、依然クローズな基盤データ環境など、実現にむけて課題はあるものの、これからどのような展開になるのか注目していきたいと思います。
研究におけるプロセス、研究者の成果以外の側面という例として個人のブログやエッセイなどが紹介されました。
昨日NHKで放送があった戸塚洋二先生のブログも紹介されていました。ブログの存在をはじめて知り、サーバのメンテナンスを待って、拝見しました。先生の姿とコチョウランが目に飛び込んできます。
公共図書館で闘病記を集めるということが、数年前に話題になりましたが、こういったブログの存在へもナビゲートできるといいなと思います。

さて、後半の質疑応答では大学院で学ぶ方、大学の先生などいつも参加する会とは少し異なった雰囲気で進められました。聞き取れた範囲で、質問とそれに対する岡本さんの回答、コメントを記録します。

  • (社会人院生さんより)会社(いわゆるサラリーマン的な)と研究の二者択一になる研究者に対して
    • 基本的に分けて考えている
    • (他の参加者より)在家の信仰と出家の信仰
  • 検索エンジンとacademicweb.jpの関係
    • 検索エンジンはウェブの基盤のような存在になっている
    • 検索エンジンを通じて「過程」を市民が受け取れるようになれば
  • 「共有」とはどのようなイメージか
    • 「共有」=「発信」と考えている
    • 研究を発信しやすい仕組みを備えた「場」をつくる
  • (大学の先生より)ウェブに書きたいけど、査読や剽窃などの問題
    • アクセスコントロール(どこまで公開するかは本人の判断)
    • 書き手の守秘義務
    • クリティカルなことだけでなくて、プライベートなことも
    • その研究を志す人が増えるようなものに
  • (大学図書館の方)図書館における実務と論理の乖離
    • 司書過程は図書館の専門性ではない
    • 情報、コンピュータへの知的好奇心が低い傾向
    • 専門家でなくても研究サイドへ発言を(エンジニアでなくてもおびえるな)

最後の言葉は痛く突き刺さりました。耳に痛すぎて、鍼治療を受けている気がしました。
参加者は5-60名といったところでしたが(もっといらっしゃったかもしれない)、けっこうお知り合いにお会いしまし、お知りあいが増えました。小躍りカウンター(リアルにこのブログを知っている/見ているといわれること)が急上昇した日でもありました。
動けば何かが起こるかもしれない、という期待を抱きつつ。
声をかけていただいたみなさま、ご飯をご一緒させていただいた方々、ありがとうございました!