EAD, EAC, EAG そしてDACS
情報組織化研究グループの10月月例会に行ってきました。
今回はアーカイブズの世界の記述規則についてのお話を聞いてきました。以下、聞き取れた/理解できた範囲の記録を。
日時:2009/10/17
場所:大阪市立浪速人権文化センター
テーマ:EAD,EAC,EAG,そしてDACS:アーカイブズ情報の共有・交換は実現するか
発表者:五島敏芳氏(京都大学総合博物館)、坂口貴弘氏*1(国文学研究資料館)
文書館があつかう資料、アーカイブズ(archives)の記述の国際標準を実現するためのデータ構造について説明された。それらアーカイブズの記述をデータとするための標準としてEAD、EAC、EAGそしてDACSが紹介されました。
1.アーカイブ資料とは
アーカイブズとは「個人または組織がその活動の中で作成または収受し、蓄積した資料で、継続的に利用する価値があるので保存されたもの」と『文書館用語集』で定義されている。アーカイブズの資料管理において、2つの原則がある。
- 出所原則(principle of respect des fonds/provenance)
- 原秩序尊重原則(principle of respect for original order)
- 復元秩序を求める傾向があるとか
アーカイブズ管理において、その記述において以下の特徴にある。
2.EAD(Encoded Archival Description)
京都大学総合博物館の五島さんから、EAD〜EAGの説明がありました。
上記のような特徴をもったアーカイブズ資料を図書館のシステムで管理が困難であった。1993年にカリフォルニア大学でEADの開発がはじまった。EADは大量のレコードを階層的に把握(入れ子型の情報構造)するためのデファクト‐スタンダード(事実上の国際標準)である。そしてSGML/XMLというマークアップ言語であるため、XMLにより展開された。
アーカイブズの国際的な記述標準として、ISAD(International Standard Archival Description)をあげる。ISAD、EADを図書館と対比させると
文書館:ISAD-EDA
図書館:ISBD-MARC
ただし、ISADとEADにはそもそもは無関係であったそう。
3.EAC(Encoded Archival Context)
〈作成者の記述〉から出所についての採用後・不採用語の掲出という用語統制である。現在はEAC-CPFに継承され、廃止されている。
4.EAG(Encoded Archival Guide)*2
スペイン語・ポルトガル語圏のアーカイブ機関の電子的ガイドの試みから、資料をもっているところの把握をするためのガイド。
5.DACS(Describing Archives: A Content Standard)
米国アーキビスト協会(SAA)が2004年に制定した、米国アーカイブズ界の標準的記述規則である。
AACR2におけるアーカイブズが、受け入れられなかった。そして、1983年にDACSの前身となるAPPM(Archives, Personal Papers and Manuscripts)がLCにより刊行される。米国以外では英国のMAD(1986年)、カナダのRAD(1990年-)などの記述規則の制定、ISADが制定されていた。
今回の発表は第一部とAACR2を比較しながら*3、DACSの特徴が説明された。第一部は25の記述要素を7種類のエリアに区分されている。資料の検索だけでなく、理解をも支援する情報を提供する。
- タイトル
- AACR2:転記の原則、補記タイトルは角かっこにいれる、
- DACS:一般的に知られている形式で名称を記入、補記タイトルは付与
- 日付
- AACR2:推定の日付は角かっこに入れる
- DACS:一般的な言葉を使う(角かっこは用いない)、機関に関する規定が豊富
- 数量
- AACR2:特定資料表示、数値+数値の種類を表す語
- DACS:特定資料表示の規定はない、数値+数値の種類を表す語(AACR2と共通)
以上を踏まえて、特徴をのべると
- 「原則の覚書」を収録
- AACR2よりもISAD(G)の記述要素と対応
- タイトルについては記述担当者による補記が前提
- 日付については複数年(期間)の記述が前提
- 転記よりも補記(記述担当者によりある程度深く分析・理解の必要がある)
- AACR2との差異が大きい
6.日本のアーカイブズ
NCR1987第11章「非刊行物」第一次案が発表されたが、NCR1987R第3章「書写資料」は写本、手稿が中心であり、文書館からの批判が起こった。その後もアーカイブズ独自の整理・記述法の標準化は進まなかった。このような日本のアーカイブズへの示唆として、目録規則の標準化と普及に至る過程や諸外国の規則と日本独自の規則の関係など、図書館界から学べることがなど図書館界から学びたいことがあるという言葉で締められました。
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ブックマークまとめ
b:id:klarer-himmel13:t:日記用20091021