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klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

資料が語る阪神・淡路大震災の記憶と現在(いま)

日時:2009年11月28日(土)13:30〜15:30
会 場:人と防災未来センター防災未来館1階「ガイダンスルーム」
講演1:過去を受け止め、未来に生きる−震災資料の収集:保存の意義を考えながら−
発表者:岩崎信彦氏(神戸大学名誉教授)  
講演2:震災資料が生まれる−震災資料収集・保存の現場から−
発表者:佐々木和子氏(神戸大学地域連携推進室)

写真は、人と防災未来センターの外観です。1995という数字が読めるでしょうか。
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センターは2002年に兵庫県が設置し、財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構が運営を行っている機関です。
災害対策/専門職員の育成、災害対応の現地支援、展示、資料収集・保存、自薦的な防災研究と若手防災専門の育成、交流・ネットワーク、の6つのビジョンのもと活動をしています。
収集資料は約16万点(うち写真が12万点*1 )、センター資料室での公開が前提、震災資料調査(2000-2002)、データベースでの検索システム
http://www.dri.ne.jp/index.html
このセンターが位置しているのは、HAT神戸と呼ばれている場所です。
HAT神戸とは「Happy Active Town」の頭文字をとって名付けられました。震災の経験をへた後、都市計画において「安全」「環境」「福祉」「活力」の視点を取り入れ、業務・研究施設、文化教育施設や居住施設などが多く集まっています。

1. 過去を受け止め、未来に生きる―震災資料の収集・保存の意義を考えながら(岩崎信彦氏)

はじめに
  • 震災10年目の時、それぞれの方法で区切りをつけた人、つけなかった(つけれなかった)人を見てきた。
  • 例えば、病名が判明するまで時間がかかった方はそれまで支援を受けにくい状況にあった
  • そのため、被災直後よりも負担が大きい人も少なくなかった
未来への歩み―分有された体験の共有化
「減災」ということ
  • 花村周寛.(2007)『いのちをまもる智慧』の紹介。「“災い”と“防ぐ”の間」
  • ボランティア活動
  • ムラコミュニティの減災の例
  • 都市の減災
    • 震災疎開パッケージ(東京早稲田商店街での取り組みであり、全国商店街まちづくり実行委員会によって、災害時に地方へ避難する仕組み。年会費10,500円)*4
    • 地震イツモプロジェクト(2007)『地震イツモノート : 阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル』
橋元淳一郎(2006)『時間はどこで生まれるか』amazon:地震イツモノート
  • 時間はただあるのではなく、生命が存在することで生まれるのなら、未来をある範囲内で決定可能
  • 未来へ向けた共有ために過去を記録すること
まとめにかえて
  • 行事、イベントとともに震災資料の収集も共有の方法のひとつ
  • 「モシモ」の震災と「イツモ」の防災のために

2. 震災資料が生まれる―震災資料収集・保存の現場から(佐々木和子氏)

震災記録の保存活動(一部抜粋)

1995年
3月 震災活動記録室(ボランティア団体)→震災・まちのアーカイブ
5月 神戸大学附属図書館震災文庫(図書館)
5月 「やったことを記録に残すボランティア大集会」(ボランティア団体と図書館) 
10月 兵庫県(行政)→(財)21世紀ひょうご創造協会に委託
10月 神戸大学附属図書館震災文庫、一般公開
1997年
1月 人・街・ながた震災資料室(行政とボランティア)
12月 (財)阪神・淡路大震災記念協会
2002年
4月 人と防災未来センター

  • ボランティアからというのが不思議だった
  • きっかけを聞くと現場の方々から「過去の経験や失敗を解決できていない」「自分の中でそれをとどめておくのはどうなんだろう」という疑問がわき上がった
  • 収集対象がはっきりしていないため、提供をよびかけるのも困難
    • 目録をインターネット上で公開し、例を提示する
    • 一人では維持するのには責任が重い資料を組織的に保管する意義
    • 広報の資料を手にして被災地をまわる
  • 「震災資料」の誕生
    • 行政資料から日常生活に密着した資料まで、形態や内容も多種多様
    • 同時代の資料を収集対象にするという観点そのものが新しいため、「震災資料」とは何かという定義や説明からはじまる
  • 震災活動記録室から震災・まちのアーカイブへの引き継ぎぐ
  • 震災資料調査活動(2000-2002年)
    • 兵庫県から阪神淡路大震災記念協会へ委託
    • 調査員440名、調査対象224,518件、うち訪問は20,181件
    • 兵庫県内の災害救助た衣装となった市町の住民、復興住宅居住者、ボランティア団体、宗教団体、労働組合、事業所、学校、まちづくり協議会を対象に電話、アンケートなどにより調査の許諾を確認
    • 現用資料が多いため提供の約束のものも
    • 分類は文書館の手法(出所原則)を採用
    • 写真などはスキャニングし、データベース化*5
  • いつかの、だれかのために
    • 2005年1月に行われた震災・まちのアーカイブズ+笠原一人による「阪神大震災・記憶の分有のためのミュージアム構想展」*6
    • 参加者は震災資料(コピー)をめいめい手に取り、読み、書き込み、郵便の仕分け箱にみたてた棚においていく
質問など
  • 収集から伝承、まとめていくという作業についてどのように考えているか
    • 岩崎先生:広島平和記念資料館の語り部の例。あるいは資料を収集する側と受け取る側の交流。資料を展示するにしても並べる側の意志を見る側に伝えないと意味がない
    • 佐々木先生:震災について考える場をつくる。ようやく震災を語る段階に入ってきたように思う。
  • 写真の公開基準でいつも悩んでいる
    • 佐々木先生:同時代の資料は扱いが難しい。勉強会や研究会。今の段階は個別判断をしているがグレーゾーンをセンターが発信できるようになれば。
    • センターの方:95年当時、予算の獲得のため収集の説明をするのが困難だった。「震災資料」ということばがようやく定着しているので、50年、100年のスパンで考えたい。

参加者は50名程度でした。話題のためか、資料保存の専門外だという方もいらしていました。
資料の公開はやはり、課題なのだなと感じました。また、公開の段階を考慮すると「基準を発信する」という難しさもいっそうでしょう。
ただ、15年前から今日にわたって、やりながら考えてクリアしてきたことを聞かせていただけたことで、解決手段のひとつなのかなと思いました。
佐々木先生のお話にもありましたが、ボランティア団体によって設立された震災活動記録室の資料を震災文庫(図書館)と震災・まちのアーカイブに分かれて引き継がれた、ということでした。

最後に関連イベントを紹介します。

こどもむけレスキューロボットのお話会 未来のロボットに期待すること
12月13日(日)10:30-11:30@神戸市立青少年科学館新館4階特別展示室
http://www.kobe-kagakukan.jp/modules/tinyd5/index.php?id=82

第9回 DRI防災セミナー
災害の経験を“伝える”―今に継承される関東大震災阪神・淡路大震災の<記憶>―
12月19日(土)13:00-16:35@人と防災未来センター1階ガイダンスルーム

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ブックマークまとめ
b:id:klarer-himmel13:t:日記用20091129
              

*1:通常の記念写真と違い、記録のために同じ対象を何枚も撮影し、それらをすべて受け入れたためと考えられる。

*2:参考:「非営利活動法人阪神淡路大震災「1.17 希望の灯り」」トップページ http://www1.plala.or.jp/monument/#(accessed 2009/11/29) 

*3:参考:「はるかのひまわり」トップページ http://www5c.biglobe.ne.jp/~akimitsu/haruka-himawari.htm(accessed 2009/11/29)

*4:参考:「震災疎開パッケージ」トップページ http://www.m-shoutengai.com/shinsai/index.htm(accessed 2009/11/29)

*5:ただし、公開については著作権を考慮した上で可否や段階をセンターが判断/提供者とともに協議をしている。また、現物は提供者に返却する場合もある。

*6:参考:市民活動センター神戸「震災10年イベントレポート〜CAP HOUSEを訪れて〜」より http://www.kobekec.net/katudo-report/sinsai10-report.htm (accessed2009/11/29)