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klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

大学図書館問題研究会 京都支部 ワンディセミナー

日時:2010年03月22日(月)13:30-16:40
場所:京都市国際交流会館(3階)第3・4会議室
主催:大学図書館問題研究会 京都支部
タイトル:「サービス向上・業務効率化に使えるアプリを企画し試行提供する」前田朗氏(東京大学社会科学研究所図書室)

大学図書館問題研究会 京都支部のワンデーセミナーに参加してきました。今回、お話いただいた前田氏は「図書系職員のためのアプリケーション開発講習会」の立ち上げと運営、講師をされています。
この講習会は、2007年から東京大学の図書系職員向けに行われています。受講生自ら、企画・立案からアプリケーションの開発、発表、さらにはアプリの活用までを進めているそうです。前田さんは情報システムに関わり、また専門用語自動抽出サービス「言選Web」の開発、Windows用テキストマイニングツールのtermmi、「ことわけWeb」、Lingua::LanguageGuesserの開発に関わられてこられました。その知識と経験を用いて、またそこでの人脈をきっかけにして講習会では技術的なアドバイスや講習向けの問題づくりもされています。リンク先から講習会などで使用した資料を手にいれることができます。
講習会をはじめるきっかけに、もっとITを積極的に活用する図書館員の育成や、それを利用サービスの向上・業務効率化につなげたいという思いがあったそうです。「もともと情報を扱ってきた図書館員がITを苦手としてていいのか」、若手に継承してほしいという思いがその裏にあったと聞きました。
講習会は前田さんと学術基盤センター所属の先生を中心に行われ、前田さんが講師役を、基盤センターが講習会用のサーバの保守などの事務局を担って進められています。期間は7月に募集、9月に企画宣言会を経て、2月に成果発表会をする流れになっています。
この講習会の基本となるのは、1.個々の受講生が自身で企画を立てて自身で開発すること、2.開発したアプリケーションは原則として試行公開すること、3.前田さんがその経験知を伝えることです。講習会という形式は企画後、それアプリ講習会という形式は企画後、それを実践(開発)まで移すことができる利点がありますを実践(開発)まで移すことができる利点があります。また、既存のシステムを直接触ることが難しいため、アプリケーションという外付けのかたちをとることによって、低コストで自由な開発ができるということでした。制約の中で開発するからこそ面白い、とも言われていました。
受講生の能力はそれぞれで、アプリケーションの開発までに到達できない方もいるという話でしたが、技術面のサポートをかなり丁寧に行われている印象を受けました。情報共有にはMLとwikiシステムを使っているということでしたが、個別に前田さんと受講生との間にメールのやりとりもあるそうです。開発・公開できるアプリはこちらから、参照できます。
https://mbc.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/products.html
講習会をしたことで、受講生の能力が向上し、受講経験を買われてシステム担当として活躍されている方もいらっしゃるようです。図書館間返送管理システムは東京大学の全図書館室に使われることになり、平成21年度東京大学総長賞を受賞されたそうです。講習会は非公式な立ち上げであり、予算を使って取り組むことは難しいですが、機動力の軽さに加え、その中での成果は全学的な評価を受けてるように感じました。
受講生の向き不向きや個人差、モチベーション、レセプターの問題などを指摘し、それらを考慮した上で他館への応用の可能性を指摘されました。また、アプリケーションのなかには東京大学意外の図書館で使われることを想定したものもあります。
後半、東大版LibXや現在開発中のアプリなどのデモンストレーションからいくつか紹介します。

  • 東大版LibX
    • FireFoxに図書館用の各種機能を付与するプラグインソフト
  • CiNii with 関連検索ワード
    • CiNiiとYahoo!のAPIを用いたものです。検索ページにキーワード候補一覧機能を付与するCiNii(NII論文情報ナビゲータ)のブラウザアドオン
    • 個人として取得して開発した
    • OPACとリンクリゾルバ、独自のEJリストを独法)
  • 柏図書館と自館の雑誌所蔵を比較する!(柏図書館移管補助ツール)
    • 別途公開中の2館間の雑誌所蔵を比較するPerlモジュール "MARC::diffSerials"をベースにした、柏図書館書庫への移管可能巻号を確認する

最後に質問をまとめていきます。

  • セキュリティについて:サーバの管理は基盤センターにおまかせしている、アプリ自体も定期的にチェックをし、アップデートも開発者本人が中心になって
  • ユーザからの反応は?:トラブルが発生すると「使われているのだ」と実感するが、まだまだ2年目なのでこれから展開に注目
  • 受講生の躓きとフォアロー:プログラム言語、失敗した場合の対処法を載せている本が少なく、講習会のきっかけのひとつであった
  • 「講師」という立場:非公式な研修会ではあるが、所属部局に認められると業務時間内に活動できる
  • 基盤センターとの関わり:基盤センター内に図書館員のポストがある
  • 学内への広報があじまっている!
  • 学内へ広報について:クチコミなど個人レベルでの営業活動をしている
  • 今後の展開について:講習会というかたちを維持したい、23年度リプレイスにあわせて
  • 初心者が学ぶプログラム言語について:この講習会では基盤センターからのオススメでPerlを使っている。何をしたいかによる(ちなみに質問をされた方によると、webブラウザで動作するJavaScriptをすすめていらっしゃいました)

始まったばかりという講習会ですが、各個人の技術の向上に加え、人材育成の場、そして図書館システムを扱うことで全館的なしてんが生まれるのではないか、また、講師の前田さんの尽力がこの講習会を支えているのだと感じました。
学内のサーバを利用している以上、学外からの参加は難しいようですが、ある程度の人数を集まるのなら、遠隔地同士でアプリケーションを開発するという講習会に参加できないかと思ったセミナーした。