『図書館を演出する』出版記念イベント
先日。『図書館を演出する 今、求められるアイデアと実践』という本がメディアランドより出版されました。
- 作者: 尼川ゆら,尼川洋子,多賀谷津也子,丸本郁子
- 出版社/メーカー: 人と情報を結ぶWEプロデュース
- 発売日: 2010/08
- メディア: 単行本
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Amazonの書影では、帯がなかったのでメディアランドさんのHPも紹介します。水色の帯が素敵です。
http://www.mediaisland.co.jp/item/item29.html
その出版を記念したイベントをご紹介します。
『図書館を演出する』出版記念イベント
日時:2010年8月21日(土)
場所:大阪芸術大学 芸術総合センター
内容:
第一部 ライブ版「図書館を演出する」
ワークショップ「掲示を演出する」 ファシリテーター:尼川ゆら氏(舞台演出家)
バックステージツアー 大阪芸術大学図書館見学 案内:多賀谷津也子氏(大阪芸術大学図書館課長)
第二部:出版を祝う集い
主催:人と情報を結ぶWEプロデュース
第一部を簡単にレポートします。
まず、「図書館を演出する」ということを尼川氏に掲示物を例にレクチャーしていただきました。全体は3ステップ+応用編からなります。
1.なぜ、掲示するのか考える
行動を起こす前に、まずはその目的を考える。貼るという行動の着地点を考え、つくる。
- 情報を伝える
- 毎月入れ替えるものは貼り替えやすい場所に、など情報の寿命によって掲示する位置が変わる
- 壁を飾る
- 飾るのにふさわしい掲示物は何か
- 壁の前に花を飾るなど別の方法はないか
2.行動を起こす前のもう一歩!
目的が果たされるためにはどうしたらいいか
- 読み手が「読もう」と思うのか
- 「情報を伝える」から「情報が伝わるには?」という視点に立つ
- 誰に、どのように読んでもらうのか
- 1でのコンセプトからずれていないか
3.情報を伝わりやすく伝える
- 余計な情報除く
- ゆがみ
- 「ゆがんでいる」に気がついてしまうと読む方の気が削がれてしまう
- あるいはわざと斜めにしているのか
- やぶれ
- 掲示物を「紙」と認識させてしまうと注意が散漫する
- 割れ窓理論(一つの掲示物がやぶれていると他の扱いも悪くなる)
- その図書館が「情報を大切にしている」という姿勢を発信する
- 粘着テープ
- 違う材質のものを重ねると掲示物を「貼られた紙」という印象をあたえる
- 「仮止め」の印象
- なるべく両面テープを使用する
- 色
- 色が付いていることは必ずしも目立つことにならない
- 色の性格を捉える(暖色/寒色がもつイメージ)
- 緑の汎用性は高いが、一方で「道化」のイメージや、かえって不自然さを感じさせる危険もある
- 掲示物をマグネットや押しピンで止めるとき、情報をカテゴライズさせて色を揃えると効果的(お知らせは赤など)
- ゆがみ
- 伝わりやすい量を考える
- 隙間なく並べられた掲示物は読み手を混乱させる
- 余白は息抜き、大きさを揃える
- 伝わりやすい並べ方
- 人の目線を考える
- 下方を揃えるときれいに見える
4.応用編
人を誘う流れを考える
- 例えば、入り口の両サイドの壁に一点透視図法のように、入り口に集まるかたちに掲示する
続いて大阪芸術大学図書館を見学させていただきました。入り口は2階で、まずカウンターや芸術部門以外の図書、学科ごとの指定図書やおすすめ100冊などが置かれています。3階は映像資料、録音資料、楽譜、視聴ブース、4階は芸術部門図書と共同研究室や展示コーナー等で構成されています。
特徴的だったのは学生の絵を展示するためのフック付き書架、AVコーナーの充実、利用案内や館内のパネル展示に見られるイメージ作りを積極的にされている点です。昨年度、館内で所属学生による展示を行ったそうです。その様子を伝えるパネルが掲示され、館内の雰囲気作りに一役買っていました。
図書館PRポスター
http://www.osaka-geidai.ac.jp/library/prposter.html
大阪芸術大学〈展FINAL in 図書館〉−へうげもの official blog
http://hyouge.exblog.jp/9956273/
今回、この本は人と情報を結ぶWEプロデュースが主催されている、「ライブラリーマネジメント・ゼミナール2009/関西第2回 中間管理職のためのライブラリーマネジメント〜 動きを作る 〜」をもとに作られたそうです。代表の尼川洋子氏は、アイディアを実践に移すためのビジネス書を作りたかったそうです。
また、イベントにはお仕事の関係で参加されなかったのですが、装幀デザインを担当された古島氏からいただいたメッセージもその場で発表されました。演出する、と言っても大掛かりなセットを用意するのではない、できることから始めて周りを巻き込んでいくと少しずつよくなっていくのではないでしょうかというエールを頂きました。