大図研大阪支部12月例会「これからの学術情報サービス」
講師:大向 一輝 先生(国立情報学研究所 准教授)
演題:「これからの学術情報サービス」
日時:12月8日(土)
会場:阿倍野市民学習センター 特別会議室
大学図書館問題研究会大阪支部のサイト
https://sites.google.com/site/dtktudoi/home/dtko121208
大向一輝先生(Wikipediaに記事!)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%90%91%E4%B8%80%E8%BC%9D
@i2kのアーカイブ
http://ikkiohmukai.blogspot.jp/
「これからの学術情報サービス」つぶやきまとめ―大図研大阪支部12月例会 - Togetter
http://togetter.com/li/419768
おそらくまとめなどを見ていただければ、なんとなく概要はつかめるると思われます。
今回、実況にこっそり参加しておりますが、ガラケーでつぶやくのはなかなか根性が試される気がします。
やはり、手軽に持ち運べる何か(タブレットかウルトラブック)が欲しいところです。
「これまでやってきたこと」「これからやろうとしていること」「これからにあたって考えていること」の3つに分けてお話いただきました。
これまでやってきたこと
- CiNiiArticles(2006-)
- CiNiiBooks(2010-)
- 前任であるWebcat(1997-*1)は2013年3月8日(昼頃)をもって終了
- NACSISーCAT APIプロジェクト*2
- NACSIS-CATシステムとの分離
- 実験的にAmazonデータと代替させたテストを行ったところ、特に問題なく動いたことから、クラウド対応が可能に→ディザスタリカバリ
- 統一のインターフェイス
- CATデータの活用
- 業務系システムでのみ利用可能だった検索項目を導入
- 著者名典拠
- 図書館連携
- 図書館システム連携(各館OPACへのリンクなど)
- ILLに有用な情報の提供(地域別、ILL種別の絞込み)
- RDFによる各種情報の記述
- OpenSearchでの検索機能の提供
- 文献管理システムやソーシャルメディアとの連携
- 絞込み条件の記憶・所蔵リストへの反映(自館OPACとして使いたい海外からの声が強いそうだ)
- フロアから質問:個人ページ、個人アカウントの導入の予定は?
- いずれやろうとは考えているが、どの程度需要があるかによる
- NACSIS-CAT(2011-)
- コスト削減の問題
- 国内(JAPAN/MARC、TRCなど)、国際(OCLS、VIAFなど)連携
- ディザスタリカバリ(震災の教訓)
- データ構築とサービス提供の分離
CiNiiの軌跡はお知らせを見るとよく分かると思います。
http://ci.nii.ac.jp/info/ja/index.html
これからやろうとしていること
ここは主にERDBの構築についてでした。
会場の関心も高いようで、質問もいくつか出されました。
- 図書館管理タイトル(アクセス情報を提供している)と契約タイトル(実際にアクセス権を持っている)の乖離
- 電子リソースの管理方法の不統一と不徹底
- ERDBプロジェクト
- Not ERMS
- プロトタイプの構築と検証
- 今行なっていることは「入れ物の構築」と「入れ物への入れ方」を決めること
- NII:開発と運用
- JUSTICE:データ収集・統計データ分析
- 参加機関:データ提供
参考:日本のナレッジベース構築に向けて−電子リソース管理データベース(ERDB)プロジェクトの現状と将来展望について | 第14回 図書館総合展
http://2012.libraryfair.jp/node/1265 (accessed 2012/12/9)
-
- 書誌、契約情報、利用条件、利用統計などの電子リソースに関する言わば「総合目録」
- ただしNACSIS-CATのように人が書誌を作るのではなく出版社などからデータ提供を受ける
- 図書館は書誌データの維持と管理
- 国内のナレッジベースの構築(Directory of Open Access Journals in Japan ::Libsteps A to Z accessed 2012/12/9)
- ERDBが意義を持つとするなら数が必要(例えば契約時に使用出来る交渉材料になるかもしれない)
- フロアからの質問:エンドユーザへの情報(メンテナンス情報など)もERDBに入る可能性について
- (2012/12/11追記)ERDBに利用条件は取り込まれる予定
- ERDBがレファレンスに提供できるものもある
- ERDBでしかできないことがあれば、ユーザサービスのアイディアは提案してほしい
- 書誌、契約情報、利用条件、利用統計などの電子リソースに関する言わば「総合目録」
- 目的
- ERDB構築とデータ共有
- 大学図書館の業務支援
- 利用者のアクセス支援
- 発見とアクセスのためのデータ
- ユーザ
- アクセスレイヤー
- CiNii認証/学認、NACSIS所蔵、ERDB契約
- 発見レイヤー
- NACSIS書誌、CiNii書誌、ERDB書誌+海外雑誌の書誌?
- EBOOK書誌は無し
これからにあたって考えていること
- IDの話
- これまでアーカイブを管理するために最後に(情報が誕生=出版して、図書館にやって来てから)付与されるものだった
- 出版や流通の段階で最初に(情報の発生と同時に)付与される
- この付与の段階に図書館が関わるか
- 例えばカレント雑誌でISSNが付いていないもの、eISSNがついていないもの、どちらの使い分けができていないものに対して「つけようよ」と言う
- フロアから質問:出版社によって付与されるIDの危うさを考えると、グローバルIDを後からでもつけたほうがいいのでは
- 現況、そこにどれだけリソースを割くことができるかという問題。
- ORCIDの例。著者名IDは出版社や各種機関によって付与されているが、ID間に互換性があればネットワークを辿れば同定できる
- 紙と電子、を超えて
- 管理の違いがサービスの違いになってはいけない
- 発行形態による区別から情報の構造に基づく再編成
- 人と情報の強化
- 著者名典拠・論文著者・研究者IDの統合
- 所蔵・ライセンス・認証
- 図書館サービスの未来
- 検索:意味を捨象したパターンマッピング(「さくら」という検索語には花なのか女性の名前なのかという意味は持たない)
- レファレンス:上記に対して「意味を汲み取ることができる」ただし、スケーラビリティの欠如
- パスファインダー、調べ方ガイド…がこの両者の間にあるもの
- 検索のレファレンス化:意味の導入
- レファレンスの検索化:大規模化
- フロアから質問:レファレンスの検索化とは?(例として、レファレンス協同データベース)
- 例えばレファレンス協同データベースで、提供された資料にIDのがあると、資料から逆に質問を検索することができる
- レファレンスやパスファインダーのデータベースについて。データベース化にはある程度、数が必要
- 書誌データの未来
- 目に見える情報(=情報源を見れば分かる)には疑問?
- 資料記述の詳細化
- 典拠や標目もアクセスポイントでしかない
- 目に見えない情報
- 資料、主題、人の間の関連やコンテキスト
- PageRank:関係情報抽出・処理
- リソースの評価
- 人と情報
- IFからaltmetricsへ
- 目に見える情報(=情報源を見れば分かる)には疑問?
感じたこと
- IDについて
- ERDBについて
- 他館の状況だけでなく、電子リソースの利用条件などは契約と密接に関係しているため、部署間(管理担当とサービス担当)で情報がうまく渡る仕組みは大切だと思う
- 他の方が指摘されていたが、訪問利用条件とかはなぜDB化されなかったのだろうか
- 書誌データの未来について