klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

NIIオープンハウス2013 「大学図書館と共に築く電子リソースの明日」

時系列は前後しますが、参加メモ
時間がたつと記憶やモチベーションの点からも、書きにくいなぁ、と。

日時:2013年6月14日(金)
場所:学術総合センター (千代田区一ツ橋2-1-2)

  • CiNiiによる電子リソースの発見とアクセス
    • 講演者:大向 一輝(NII准教授/コンテンツシステム開発室長)
  • 電子リソース管理データベース(ERDB)プロジェクト はじめの第一歩
    • 講演者:高橋 菜奈子(NII学術コンテンツ課
  • ERDBプロトタイプ第2版デモ
    • 講演者:片岡真(九州大学)
  • 海外KBの動向
    • 講演者:大前 梓(NII図書館連携・協力室)
  • パネルディスカッション~ERDB ここが知りたい~
    • パネリスト
      • 大向 一輝(NII准教授/学術コンテンツ課コンテンツシステム開発室長)
      • 片岡 真(九州大学)
      • 平田 義郎(横浜国立大学
      • 熊渕 智行(JUSTICE事務局/NII図書館連携・協力室室長)
    • モデレーター
      • 高橋 菜奈子(NII学術コンテンツ課)

ウェブサイト
http://www.nii.ac.jp/content/event/2013/openhouse.html

NIIオープンハウス「大学図書館と共に築く電子リソースの明日-電子リソースいまできること,これからやりたいこと-」 #NIIと大学図書館2013 - Togetter
http://togetter.com/li/518279

Ustream
http://www.ustream.hu/channel/nii-with-academiclibrary

大向先生「CiNiiによる電子リソースの発見とアクセス」
  • CiNiiの(BooksとArticles)の最近の動向を紹介
    • 2012年12月に海外館対応(実質CiNiiをOPACとして使っている)
    • 2013年4月にリプレイス
    • 5月にBooksに目次・内容表示
  • CiNiiはまだ終わらない
    • BooksとArticlesをくっつけたい
  • Niiとしてのコンセンサスとセーフティネット
  • 大学図書館コミュニティが持つ資産の積極的活用
    • NACSIS-CATが紙でもたらした環境を電子で実現する
    • それを実現するためのERDB*1
  • 利用者の所属に応じ,紙媒体の書誌に対応した電子ジャーナルの情報を表示する

*2

  • Neo4jを使ったデータベースにデータが入っている
    • Javaベースの組み込み型のグラフデータベースエンジンでスウェーデンのNeo Technologyが提供するオープンソースソフトウェア*3
    • IDによって紙と電子の変遷マップ
  • CiNiiのロードマップ
    • Articlesとの連携*4
    • 紙と電子の議論ではなく、全てはIDでつながっている
    • 所蔵と契約はデータの筆跡(?)には何ら影響しない
    • 電子ブック、海外の記事への展開:
  • IDを誰がどのように管理するのか?
    • 図書館内外の連携
    • 海外機関、出版社(情報の上流にいる機関)
高橋さん「電子リソース管理データベース(ERDB)プロジェクト はじめの第一歩」
  • ERDBは現在は電子ジャーナルがメインターゲット
  • 電子ジャーナルをめぐる課題
    • 恒常的な価格の上昇
    • 電子リソースの管理・アクセス提供
  • どういうことをしてきたか
    • NACSIS-CATに電子ジャーナルで書誌を作成→データの更新がうまくいかなかった
    • 電子情報資源管理システム(ERMS)実証実験→価格、機能の面からあまり普及せず
    • ワーキンググループやアンケート調査、ヒアリング調査など
  • 2つの報告書の提言
  • 電子リソースで書誌と所蔵(契約)を結びつけるのがKB
    • CA1784 - 動向レビュー:図書館におけるナレッジベース活用の拡がりとKBARTの役割 / 渡邉英理子, 香川朋子>http://current.ndl.go.jp/ca1784
    • 管理ツールではない((が、管理ツールと無関係ではいられないから、そのあたりは今後どうなっていくのだろう?図書館システムがERDBによって変わることも?))
    • スライド「誰にとって何がよくなるの?」の「外部機関」に図書館システムも含まれるのだろうか…?
  • プロトタイプ構築プロジェクト
    • データ共有のための基盤構築とアクセスビリティの向上
    • プロジェクト内の意識共有
  • 共有すべきデータ
    • 国内外のナレッジベース
    • ライセンス情報
    • 各大学の情報
  • 2年目以降
    • 平成25年度:開発と検証、データの整備
      • 国内のナレッジベースの整備とJUSTICEのパッケージのデータ収集
      • APIを開発・検証
    • 平成26年度:後半に試験運用(予定)
    • オープンな基盤的メタデータを活用してサービスを開発・提供できるような、その中のひとつとしてのERDB
片岡さん「ERDBプロトタイプ第2版デモ」
  • ウェブインターフェイス
  • 試験的にJST/J-STAGE、NDL、ELS、Serials Solutionsのタイトルリストとナレッジベースを投入
    • 自動的にデータ更新・登録
  • 4つの大きな機能
    • ナレッジベース
      • 出版元からデータ提供
      • 国内ものデータはは商用データベースにのりにくい
    • パッケージ
      • 有料、無料、コンソーシアムのパッケージの種類別という3つの区分
    • 契約情報(Contract)
      • コンソーシアムの提案書のデータも一覧できるように、それに紐付いているデータも参照できるように
    • プラットフォーム
      • これは一体何だろう…?
  • APIをディスカバリーに利用、国際連携、図書館システムで電子情報を管理できるかも!
    • そして逆に図書館システムからERDBに…
大前さん「海外KBの動向について」
  • ERDBプロトタイプ構築プロジェクト内の海外KB調査チームによる調査報告
  • GOKb,KB+,JUSP,elcatについて調査
  • 国際フォーラム「International Forum to Discuss Knowledge Base Activity」への参加
  • Knowledge Base+
    • イギリスのJISCコレクションによるプロジェクト
    • 電子リソースの情報の正確性や現行のKBの正確性の欠如という問題意識から
    • イギリス内の電子リソースのKBの整備
      • 出版データはオープン
    • 同時にデータ管理のプラットフォームも提供
    • 対象コンテンツは電子ジャーナルのみ
  • JISCコレクションのプロジェクト
    • elcat
      • ライセンス情報の比較・分析ツール
    • JUSP
      • 利用統計を一元的に取得するポータルサービス
    • PECAN
      • キャンセル後のアクセス条件に関する先行研究
  • 今後KB+に統合予定
  • GOKb
    • アメリカのプロジェクト
    • オープンソースの図書館管理システム「Kuali OLE」のナレッジベース
  • Kuali OLE
    • インディアナ大学などが中心となってコミュニティベースの図書館管理システム
    • ローカルなデータのみ
    • IDや財務など大学基幹システムと連携
    • ディスカバリーサービスとの統合
    • 出版データとモデルライセンス(グローバルに共有できるもののみ)
    • 管理者画面の提供はなし
    • CC0
    • コミュニティによる維持管理
  • KB+とGOKbの違い
    • KB+はイギリスのローカルなもの、GOKbは国際的なデータベース
      • KB+からはローカルで高品質なデータを、GOKbはグローバルなデータを提供
  • ナレッジベースの共同構築連携
    • GOKbではグローバルなデータ要素を共有
    • データの全構成要素にGOKb独自IDを付与+あらゆる既存IDを収集*6
    • パッケージ変更、トランスファーに対応できる柔軟性が高い
  • 生データをルールエンジン(Open Refine)を通してデータ収集・統合
  • ERDBとGOKbとの連携
    • ERDBはKB+のような役割に
  • 各国の現状報告
    • 国レベルのプロジェクトはまだだが、調査・検討中
    • 管理レベルを考えていて、サービス面は未検討のところが多い
  • KB+は2013年7月にversion3リリース
  • GOKbは2014年中頃に一般リリース
パネルディスカッション~ERDB ここが知りたい~
  • パネリストから一言
  • 片岡さん
    • 電子コンテンツなくてはならないし、利用に供するにはきちんと管理
    • 一機関だけでは無理→コミュニティ
    • 国内のものが管理できていない
    • 機関+コンソーシアム+国際コミュニティをうまく繋げたタイトルリストが欲しい
    • ディスカバリーをサポートするような(主題から、IDから)
    • 管理コスト
  • 平田さん
    • 横浜国立大学では電子リソースを紙のなかで無理矢理管理している
    • 電子リソースの総合目録がERDB?
    • ILL、Walk-in-user
    • 手間をかけずに
    • データ提供のインセンティブが必要
  • 熊淵さん
    • JUSTICE参加館の中には、どういう電子リソースがあるのか把握できていないところも
    • JUSTICEとしても全体として何が起きているのか、どういうもの何かを把握している、とは限らない
    • 利用統計や経費(出版社が対応してくれるのか?)の共有
      • ERDBとは別でも。金額を含めたのはもっと先かも(管理のしかたがバラバラだから)
  • 高橋さん:データの整備をどうやっていきましょうか?という点がキーに
    • 全体の意見ではあるけれど、NIIとしてはいかがですか?
  • 大向先生
    • 日本の場合はJ-STAGEとCiNiiとJJRnaviでカバー
    • 今年はSSのデータを使わせてもらった
    • 海外と連携(シェアするに足るデータを作る)新しい仕事としてどう位置付けるか
  • 高橋さん
    • 国内のデータを整備するに他に何が必要?
  • 片岡さん
    • メディカルオンラインなども入っている
    • 必要な情報が同じ水準(標準化)で入っていること
    • (電子ジャーナルと意識されずに)電子的に配信されているもの
  • 平田さん
    • 個人の作っているものが救えれば
  • ここで会場の伊藤さんにマイクがデータ収集について振られ
    • 後継が8-9月に出る。(スケールダウン?)
    • 図書館員は絶対網羅性(周辺やレアなものも含む)が含まれないと満足しない
    • ERDBを絶対網羅異性では困難になるだろう
    • 集中管理→共同分担になるのがベターか
    • 少なくとも自分の大学の電子出版物はなくては
    • 意識改革。電子リソースの情報について自分で探しに行く気概を
  • 高橋さん
    • コアなところをおさえたうえで、その先どこまでいくのか。大学とNIIの連携の肝はジャスティス
  • 熊淵さん
    • 提案書の標準化(まぁすべてを網羅するつもりはないとは言いましたが)
    • タイトルリストその他は今後の検討課題
    • コンテンツを利用するためのメタデータをどのくらい提供してもらえるのか、こちらの姿勢を見せる
    • 国内の整備は遅れ気味である…
    • 分担の方法
  • 片岡さん
    • 標準化されたライセンスの情報をERDBとか商用KBに使用
    • ERDBの整備も大きなところから細部へ
  • 平田さん
    • 大きなところはジャスティスに、細部をローカルに
  • 高橋さん
    • 電子の総合目録の可能性は?
  • 大向先生
    • (理想主義的に発言するなら)できるのでは
    • 隣の大学が何を契約しているのか知らなくていいわけは、ない
    • 電子リソースも相互利用協力
  • 片岡さん
    • Summonの話。例えばCiNiiのプラットフォームで自館の所蔵が表示されるなら、乗り換えることも考えられる。
  • 大向先生
    • もっといいのがあれば、そっちに乗り換える状況を作り出すことはできる?
  • 片岡さん
    • 海外のデータも網羅できるのであれば
    • その時代ごとに何がベターかを選択できれば
  • 高橋さん
    • 九大のように一大学でなんとかできるよう(に見える)のになぜ、ERDBにデータを上げるのか?
  • 片岡さん
    • 確かにそういう一面はあるが、立ち上げの馬力を運営には使えない(継続という点)
    • 共通のうつわを何を使うかは日々模索
  • 平田さん
    • 総合目録の話は持っているところより、持っていないところ<が必要
  • 高橋さん
    • 「KBを整備したい」と、「総合目録にしたい」という思い。順番。うまく運用できるのか
  • 質問票より①:欠号とエンバーゴは?
    • (片岡さん)国際的にはあまり重要視されていない(?)少なめに表示。まずは、KBARTのような世界と同じプラットフォーム*7に載せていく。日本語特有の問題は参加して変えていく。その上で欠号をCiNiiをどう出していくか(分けて管理するのか)
  • 質問票より②:プリントに付随するフリーのは?
    • (熊淵さん)大学からの提供。冊子と契約のなかで購読状況も把握できるようになる
    • (片岡さん)アクティベーション*8
  • 質問票③:商用KBなしにERDBだけでなんとかなる?
    • (平田さん)エクセル管理では限界?ERDBだけでは何とかならないが、逆にシステムを導入するきっかけになる可能性も?
  • 質問票④:ERDB構築後のメンテナンスは大学図書館は何をする?
    • (熊淵さん)JUSTICEは大学図書館ですが、ごく一部の大学(誰か?)が頑張るということもありうる(むしろその方が優勢)。頑張ることへのインセンティブ
    • (高橋さん)運営方法は今年度の課題
  • 最後に
    • 片岡さん:できることをやりましょう。国レベルのコミュニティで何ができるのか、国際的なコミュニティと連携ができるのかという試金石になる
    • 平田さん:電子をうまく管理、提供できるように
    • 熊淵さん:図書館がコンテンツに関われるように
    • 大向先生:シェアと連携で答えを解く
感想的なもの

ERDBについてきちんとお話を聞く機会でした。内容に付いて行くので精一杯でした…
大前さんの報告で国際フォーラムで管理のお話だけだったというのとは対照的に、発表者やパネリストの方々から、提供(相互利用)という思いが強くが感じられたのが印象的でした。
個人的に現状、電子リソースを欲しいひとがすぐに入らないものに価値を注げるのか、という思いもあったりします。(契約の見直しには使えるかもしれない)
ただ、この取組の先に電子リソースの相互利用がもっと完成形に近づくのなら、そして資料収集が逆に研究スタイルに影響することがあったら面白いなぁと思った半日でした。

*1:次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業│ERDB http://www.nii.ac.jp/content/erdb/ 参照:2013.6.23

*2:平成24年度電子リソース管理データベース(ERDB)プロトタイプ構築プロジェクト最終報告会「CiNii Books連携報」http://www.nii.ac.jp/content/erdb/pdf/20121221-cinii-renkei.pdf 参照:2013.6.23

*3:【ハウツー】組み込み型グラフデータベース「neo4j 1.0」を試してみよう (1) neo4jを使うための準備 | エンタープライズ | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/articles/2010/03/16/neo4j/index.html 参照:2013.6.23

*4:現行、J-STAGEへのリンクが表示されていますが、それは全く別の仕組みを使っているのでしょうか…?

*5:GOKb • Presentationsより Tumblr!

*6:IDDBのような?

*7:2013.6.24追記ブコメで教えていただきありがとうございます。 「けーばっど」と聞こえたのですが何かがよくわかりませんでした…

*8:電子ジャーナルを利用可能にするために、利用登録などの設定を出版社のHP上で行う作業