MIT宮川繁教授講演 OCWとオープンエデュケーション@九州大学
概要
日時:2013年7月23日(火)
場所:九州大学情報基盤研究開発センター
主催:附属図書館付説教材開発センター 共済:情報統括本部
講演者:マサチューセッツ工科大学 宮川繁教授
講演の様子は後日、公開予定だそうです。おそらく九大のOCWでしょうか。ここでは簡単なメモと補足リンク集のつもりで。
2013.8.14追記
MIT 宮川繁 教授 講演「OCWとオープンエデュケーション」 - YouTube
九州大学OCW
http://ocw.kyushu-u.ac.jp/
九州大学附属図書館付説教材開発センター
http://www.icer.kyushu-u.ac.jp/en
伊都と大橋キャンパスで中継もされました。50名の参加、過半が学外からだそうです。注目度の高さを感じました。
司会の教材開発センター長の藤村先生より
- 教員がいかにOCWやオープンエデュケーションに関わるか
- 九大では学生のパソコン必携化を始めた
- このような動きってもしかして全国的なものだったりするのでしょうか
- 状況作りはできつつある、あとは先生方次第
宮川先生
- 九大は早い段階でOCWに取り組んでいる
- OCWはMITで10年前にがはじまった
- http://ocw.mit.edu/index.htm
- チャールズ・ベスト(当時の学長)からe-learningについて考えろ指示をうける
- mit.com構想
- ベンチャーを研究の結果、e-learningはビジネスとして難しい
- 当時、教員60名が教材をウェブ公開していた。
- mit.comはビジネスを考えていたので、なんで無料公開しているのかインタビューした
- 無償でやっている
- 自分の教育をよりよくしたいので、実験的に公開している
- 上記は60名に共通していた
- お金を稼ぐのはなく、教育に繋げるべきでは?
- mit.com ではなく、教材を誰でもいつでも使えるように。世界中の人が使えるように
- ファンドレイジング大切。学長に納得してもらう
- メロン財団とヒューレット財団から融資
- 5年以内にほぼすべてを公開する約束で
- リポジトリとの関連があるとすればどこだろう・・・・?
- いろいろな教材を紹介していただきました。これだけで1日すぎてしまいそうです
- アナンド先生(URLをメモしそびれ)
- 教材のみならず、宿題やその答え、試験問題も載せている
- 次の学期は宿題も新しく
- http://ocw.mit.edu/courses/aeronautics-and-astronautics/16-00-introduction-to-aerospace-engineering-and-design-spring-2003/projects/
- 学生のプロジェクトも公開
- http://ocw.mit.edu/courses/mechanical-engineering/2-00b-toy-product-design-spring-2008/
- 安くおもちゃを作るプロジェクト
- http://ocw.mit.edu/courses/foreign-languages-and-literatures/21f-027-asia-in-the-modern-world-images-representations-spring-2012/
- 画像を通じて歴史を考える
- 博物館から画像を収集、公開、
- 画像、教材はクリエイティブコモンズのライセンス
- これに限らずOCWは基本的にクリエイティブコモンズ
- 本筋ではないですが"非営利"というのはけっこう難しい気がします
- 出版社、美術館にそのことを含めて契約(お金払っているの?)してる
- http://ocw.mit.edu/courses/physics/8-01sc-physics-i-classical-mechanics-fall-2010/introduction-to-mechanics/units-and-dimensional-analysis/
- たまたま映像を先生がもっていたことがきっかけ
- 現在2180の講義を公開
- 講義のほぼすべてを公開してる
- 1億人のアクセス、120万人/月、アクセス数ではない
- 北アメリカ44%、東アジアも19% 北アフリカのアクセスが延びている
- MIT内部の人たちにもメリットがある
- 学生も使う、次の学期の参考に(90%)
- 先生も使う、他の教員のを見てる(84%)→FDにも役立つ
- 卒業生も使う、資金サポートをする層(50%)
- スタッフも50%見てる?(スライドより)
- 高校生が大学選択の重要ポイントとしてOCWを(35%)
- なぜ成功したか
- OCWのミッションはMITのミッション
- 研究だけでなく、教育で
- 知識をつくる、シェアする、保存する
- 2003年 グローバルOCWコンソーシアム
続いてオープンエデュケーションについて
- 2012年スタンフォードの先生×Googleが人工知能入門の講義をオンラインで提供したことがはじまり
- 登録をだれでもOK(宿題を提出、採点して返す)
- 90カ国16万人!→2万人が残った(10%が修了、だいたいMOOCはこんな割合)
- 機械採点
- 満点をとった300人、どこにいるのかも分かる?
- 主なプラットホームは2つ
- edX> https://www.edx.org/ 京大
- Coursera>https://www.coursera.org/ 東大
- 採点のやり方工夫
- ラムケン教授 文学の授業に5万人→毎週、作文の宿題→学生同士で採点
- "うまくいけば、ひとりの教員の採点よりもよい?!"
- ラムケン教授 文学の授業に5万人→毎週、作文の宿題→学生同士で採点
- MOOCsは定着するかはまだ分からないが1年でここまで
- NY TIMES の記事
- Courseraを教科書として使うモデル
- 大学は試験場になる
- 1人8ドルでビジネスモデルができる
- NY州立大学がコウセラと提携した
- OPEN SUNY>http://www.suny.edu/
- 10万人、3年で、e-learningで増やす アメリカ以外をターゲットにしている
- MOOCでとれるビッグデータ
- 最近論文出た(ここもメモ漏れ。後日、加筆します)
- 一人一人がどんなクリックをしたか、教材の滞在時間とか?
- 修了できた人、できなかった人、満点な人がどんな学習をしたか
- 教育の評価が変わる?教育効果
- 27%は高卒だった
- 朝日新聞の記事>満点をとったモンゴルの少年 16歳でMIT 。天才を発掘した
- 教育のオープン化、グローバル化
質問
- 課題は?
- ビジネスモデル、無料だけどお金がいる、1システムに2000万円! MITとハーバードは300万ドルずつedXに投資。CourseraはCO-PROFIT(8ドル)
- 物理の講義、99年のビデオだったけど、更新頻度は?更新基準は?後任者は善人者を越えることができる?
- ルーイン先生のはたまたま持っていた。ルーイン先生の後任者たちはいろんなチャレンジをしている。シュミレーションに予算を取ってきたり。5.5年の平均年齢。物理はまあOK。これから、どういう授業を更新するかを議論している
- 教員と学生のコミュニケーション。MOOCが定着したら普通の教員は何をやればいいのか。
- ソーシャルメディア。濃いインタラクション。ミシガンのラグビン先生。5万人にコミュニティができた。MOOCを教科書モデル。大学試験会場モデルにおいて、教員の問題は分からない
- 日本としてどうしたらいいのか。言語がハンディキャップに?予算の問題
- 自分が答えることはできないが日本なりの考える必要はある。
- 大学でのノウハウ。OCWに参加してもらえないことも。ほぼすべてできた理由は?
- トップダウンは無理。60人からスタートして徐々に広げる。500人にいったら火がついた。
- 電子教材をつかっていた下地はあったか。OCWに移行するのに役立ったか
- 通信をやっている大学はそれでなりたっているが、MOOCが影響してるの?
- イギリスのOPEN UNIはOCWで公開したら、8000人の新規登録が!MOOCだとなにか考えないといかん フェニックスは異なるモデル、20万人の学習者。ビジネス展開
- 大学のブランドは残る?
- 残るのでは?どうなるかは。教育は根本的に変わる。グローバルな場で学生の取り合いに?就職にどんな学歴を持っていくのか。
- キャンパスの学生とオンラインの学生の差別化?先生はどう考えている?学生がどう考えている?
- 成績とかで差別が出てくる。どちらであっても差別はあってはならないが。。
宮川さんのお話を聞くまで、OCWやMOOCsは単に教育の見せ方が変わるという印象をもっていたのですが、採点方法が機械的になったり、学生同士で採点したり、教育の評価が変わるのだ、という話が印象にのこりました。
フロアからも質問された教材の更新ですが、現在のMITのOCWの平均年数は5.5年だそうです。個人的には古いバージョンの教材をどうするのかなというのにも興味があります。