klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

高等教育研究会「教育の質的転換に向けた大学教職員の役割」

開催日時:2013 年1 月12 日(土) 14 時〜17 時(13 時半〜受付)
会場:池坊学園洗心館6 階第1 会議室(四条通室町鶏鉾町)
報告:
文部科学省高等教育局高等教育企画課高等教育政策室 専門官 小山田享史氏
愛媛大学教育企画室副室長・教授 秦敬治氏
京都産業大学学長室課長(教育支援研究開発担当) 森洋氏

高等教育研究会URL
http://www.bekkoame.ne.jp/ha/shes/

研究会の詳細は『大学職員ジャーナル』にて掲載のことです。(会員以外でも購入可とのことです)
CiNii 雑誌 - 大学創造. 別冊, 大学職員ジャーナル
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11456430

(追記:2013.1.15)こちらはid:high190さんの記事です。
京都で開催された高等教育研究会・大学職員フォーラム「教育の質的転換に向けた大学教職員の役割」に参加してきました。 - Clear Consideration(大学職員の教育分析)
http://d.hatena.ne.jp/high190/20130115/p1

この高等教育研究会は特に参加資格も申し込みも必要なく、初心者の自分にとって参加しやすかったです。
とは言うものの、基本的な共通理解が追いついておらず、今回のレポはまとめというより、キーワードと文献という視点で、まとめます。

小山田享史氏「大学改革プランと大学教育の質的転換について」*1
    • 文部科学省による(文科省が出したという点で画期的だったらしい)
    • 2つの大きな柱と、8つの基本的な方向性から構成
    • H24の改革始動期、H25・26の改革集中実行期、H27〜29の改革検証・深化発展期
    • 「大学ビジョン」の策定
    • (自分が)印象に残ったのはグローバル、客観的評価指標、大学院教育
  • 新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)((http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1325047.htm 中央教育審議会  平成24年8月28日 ))
    • 主に社会からの大学教育の評価、求められる人材を大学が育てられていない?
    • 求められているもの、例えば「学士力」
    • 学習時間の減少や留学生数などが具体的な数値としてあげられるがこの数字を上げることが目的となってはいけない
    • 入試制度の機能と限界
    • キーワードは「主体的な学び」
      • その仕掛けとしての「アクティブ・ラーニング」
    • 学士課程教育の質的転換への好循環の確立
    • 「プログラムとしての学士課程教育」という概念の未定着
    • 大学の学位授与方針のもと、学長、学部長、専門スタッフなどがチームとなり「改革サイクル」を確立する
      • 専門スタッフとは?
    • 速やかに取り組む事項
      • FD、「大学ポートレート(仮称)」…等などに加えて図書館も呼ばれる
  • 大学教育改革地域フォーラムについてhttp://ww.youtube.com/watch?v=RjZwoUY0tHc
秦敬治氏「大学職員の人材育成と能力開発」
  • CiNii Articles 検索 -  秦敬治
  • 大学、各部局・部署、個人のベクトルの不一致(特に大学と個人はバラバラの傾向が)
    • 大学と職員がお互いを理解できていない?
  • SPOD-SD
  • 職員研修プログラム
    • 共通教育+専門教育プログラム
    • 大学職員の専門性を育成するために学士、修士、博士課程として位置づけ
    • 職員もプログラムの実施、運営、企画に関わる
    • リーダー養成課程
    • 次世代リーダー養成プログラム
    • 講師不足、すべてのプログラムを一度には開催できない
  • スタッフ・ポートフォリオ(職員業績記録)
    • 人事評価とは異なる
    • 自分のビジョン、能力、これまで業績を示し、大学はそのために何を提供できるかという視点で作成される
    • 9割近くが「作ってよかった」
      • 自分について知る方法は「自分で自分のことを語る」
  • メンタリング
    • メンターは愛媛では上司が担当
    • メンターの育成が課題
  • 24年の答申を受けて職員に期待すること
    • 双方向の意見交換や客観的データの重視の視点(IR)
    • アクティブ・ラーニングへの転換(環境整備)
    • カリキュラムマネジメントへの関与→教育課程・編成への組織的参画
  • 大学側
    • 職員のグローバル化(≠語学力だけ)
    • ジョブディスクリプションの明確化
    • 新規採用の厳格化
  • スタッフ・ポートフォリオの活用
森洋氏「教育の質的転換に向けた取組―中央教育審議会(2012年8月28日)答申への京都産業大学の対応―」
  • 学生FDスタッフ*2
  • 学長室直下に教育支援研究開発担当が位置
    • 3つのワーキンググループと学生支援(上記の燦の活動)
  • P・センゲ「学習組織」
    • ミドル・アップ・ダウンマネジメント
  • 「専門スタッフ」
    • 嘱託職員として雇用
    • 学長室には6〜8人
    • 「職員」のロイヤリティを活かす
      • 大学への帰属意識、忠誠心など
    • スピード重視
    • 専任職員だけでは困難な改革を行う
    • FDer、コーディネーター、ファシリテーター、HP担当、ラーニング・コモンズ運用管理者(!)…等などとして
      • バックグランドは様々
    • 豊富な知見と経験
  • 学生、教員、職員の方向性・ベクトルを合わす
知らなかったことば
  • 基本的に答申の「用語集」にほぼ掲載
  • サービスラーニング
    • 教室で学ばれた学問的な知識・技能を,地域社会の諸課題を解決するために組織された社会的活動に生かすことを通して,市民的責任や社会的役割を感じ取ってもらうことを目的とした教育方法*3
    • レベルの目安を数段階に分けて記述して、達成度を判断する基準を示すもの*4
  • 大学ポートレート(仮称)
    • 教育情報の活用・公表*5
    • 朝日新聞の記事では「大学にとっての有価証券報告書」という表現がされていた*6
  • Institutional Research
    • 本来、教育、経営、財務情報を含む大学内部のさまざまなデータの入手や分析と管理、戦略計画の策定、大学の教育プログラムのレビューと点検など
    • 大学IRコンソーシアム*7
  • ジョブディスクリプション
    • 企業内部の各職務内容について詳細に記載したもの*8
  • CLA (The Collegiate Learning Assessment)
    • 学修成果の測定・把握の手段の一つ*9
感想・印象に残ったこと
  • ポートフォリオをちゃんと描けずに人事交流をしても成果(意味?)は無いという秦先生の指摘
  • 採用の時点で厳しくしよう、そもそも募集要項の内容が少ない、キャリアパスを示されていない(それでは求める人材はどこで育てられるのだろう?)
  • 卒業生の将来が、大学の理想という京都産業大学のスローガン
  • 大学情報発信と整備(それぞれがバラバラにしない)

*1:[http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/06/1321798.htm:title=大学改革プラン]平成24年6月5日

*2:[http://www.kyoto-su.ac.jp/outline/approach/excellence/kyouiku/fdstaff.html:title=学生FDスタッフ「燦(SAN)」] | 教育支援研究開発センター | 大学の取組み | 大学紹介 | 京都産業大学

*3:[http://www.human.tsukuba.ac.jp/gakugun/k-pro/aboutSL/aboutSL.html:title=サービス・ラーニングの定義・歴史・役割]|筑波大学人間学群「サービス・ラーニング」より

*4:[http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/2Block/05/05-2_text.html:title=ルーブリック]|熊本大学より

*5:[http://portal.niad.ac.jp/ptrt/:title=大学ポートレート(仮称)準備委員会

*6:[http://www.asahi.com/edu/university/toretate/TKY201202290176.html:title=朝日新聞デジタル:何を映すか「大学ポートレート」 中教審部会が積極推進] - 山上浩二郎の大学取れたて便 - 大学 - 教育

*7:http://www.irnw.jp/index.html

*8:[http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_732.html:title=ジョブディスクリプション(職務記述書)とは] 〜 exBuzzwords用語解説より

*9:[http://www.collegiatelearningassessment.org/:title=Collegiate Learning Assessment]