klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

EBSCO Opens Metadata to Third-Party Discovery Services

何とか続けようとしているシリーズ。

はるか前の記事、2ヶ月以上前になりますが、EBSCOによるメタデータを提供方針についてのまとめ

EBSCO Opens Metadata to Third-Party Discovery Services - The Digital Shift

その前にプレスリリースが4月付で発表されました。
EBSCOが、ディスカバリー・サービスのベンダーに対する同社のデータベースのメタデータを提供方針を発表 | カレントアウェアネス・ポータル

ディスカバリーについてちょっと調べて考えることがあったものの、通常業務ではサービス面に気が取られて、裏の仕組みをしることが疎かになっていたので。この機会に1本読んでみました。


「EBSCOはサードパーティディスカバリー・サービスに対してメタデータをオープンにした」

タイトルはそのまま。EBSCOは2014年4月、新しいメタデータ提供方針を発表した。それは、全メタデータ(129のフルテキストデータベース、55万件以上のEBOOK、70以上の歴史的デジタルアーカイブ)をサードパーティディスカバリーサービスが利用できるといったものだった。

サードパーティディスカバリーサービスとは、例えばOCLCのWorldCat、Ex LibrisのPrimoなど。以前から、APIを通じて EBSCO Discovery Service (EDS)のコンテンツを検索することはできた。ただこの提供方針の変更は「新たなパートナーシップを確立してくれることを期待している」(Sam Brooks)また、この変更は全てのフルテキストデータベース、ebook、歴史的デジタルアーカイブに影響する。

Brooksいわく、このことはいずれ、EBSCOがいずれフルテキスト検索能力を提供するようになるだろう、そしてそれのライセンスは許可されるであろうし、新しいポリシーをもった出版社をもたらすようすでに動いている。

続けて曰く。現在、EBSCO内のフルテキストデータベースの多くは、他社に提供していない。そのため、利益がはっきりわかるには多少の時間がかかる場合もあるだろう。しかしながら、このような他のサービスは、フルテキスト検索に概して依存し、そのためにフルテキストの提供は(表示ではなく、検索のために)より露出を促すためにあきらかに利益になる、ということを出版社に説明してきたし、今後も続けていくつもりだ。

フェアなリンク

EBSCOのアプローチは、NISOのOpen Discovery Initiative(ODI)と提携している。ODIとは、ディスカバリーサービスの透明性向上を目的とした推奨指針である。

The Open Discovery Initiative (ODI) aims at defining standards and/or best practices for the new generation of library discovery services that are based on indexed search

EBSCO社、オープンなメタデータ提供方針の対象となるデータベースを追加 | カレントアウェアネス・ポータル

EBSCOはこのODIをサポートしているということも発表している。

Open Discovery Initiative | Best Practices for Discovery Services | EBSCO

また、今回読んだ記事のポイントは「リンクの透明性」である。ODIに準拠し、リンクデフォルト(linking defaults)をより透明性のあるものにするという計画、らしい。

EDSのリンクデフォルト(linking defaults)は、かつては他のプロバイダからのコンテンツを越えて、EBSCOのコンテンツを助力するために組み立てられることは決しなかった。(同様に他の出版社のコンテンツを越えて、どんな出版社のコンテンツを助力するためにも起こることはなかった)しかしながら、同社はODIの準拠や、そのことによるデフォルトがあらゆるバイアスに関する感心事を取り除くことを期待している。

制限されたサブジェクトインデックス

この新しい提供方針は、PsycINFO、CAB Abstractsといったアブストラクトとインデックスデータベース(A&I)を含んでいない。ODIの「Promoting Transparency in Discovery」いわく、この件についてはこの秋ごろ、コメントをリリース予定だそうだ。多くのA&Iデータベースのプロバイダはディスカバリーサービスにおいて、自社のコンテンツがどのようにインデックスされているかについて制限を加えている。

ODIはこの件について立ち戻って、EBSCOの新しい方針曰く、A&I周りのディスカバリーサービスの発展にとってのアプローチとして、リソースはより徹底的に立処され、その後にとりかかることになるでしょう。EBSCOは自身の方針に、これらのユニークなディスカバリーを他のディスカバリーサービスのベンダーと共有するという方針に立ち戻ることになるでしょう。もはや、EBSCOのライセンスの取り決めは、多くのこれらのA&Iリソースから成り立つメタデータサードパーティディスカバリーサービスに提供することを、禁止しない。

進行中のパートナーシップ

この新しい方針は、A&Iに起因するある種のユニークさをはっきりさせる移行を含む。どういうことかというと、A&Iリソースは特殊な要素でもって開発され、もっとも洗練されたデータセットとして維持されている。しかしながら、そうであるがゆえに、適切な結果を返すためには難解で、かつ精錬された検索アルゴリズムやアプローチが求められてる。今や、あらゆるディスカバリーサービスは、個別のコレクションについての特別な構成要素を行使するようにはデザインされていない。そして、適切なガイドラインなしにこれらを含めることがあったとすれば、多くの場合において、その価値を不注意に減じることになり、さらには図書館検索を駄目にする。

EBSCOのこれらのデータセットに対する権利は、図書館システムベンダー(SirsiDynix、 OCLC、Innovative Interfaces Inc.、Kuali OLE)をEDSのパートナーシップに巻き込む。とりわけ、InnovativeとEBSCOが、6月に発表したパートナーシップ(EDSとEncoreの統合)を発表した。新しいサービス名はEncore Duetという。

Gene Shimshock(Innovativeの副社長)いわく、このパートナーシップには互いの強みを強化する打開策があると。また、EBSCOがジャーナルやメタデータ、フルテキストインデックスに対してしていることは、とても洗練されたものである。同じように書誌的な面からInnovativeが行っていることにも言える。この2社が深い専門知識でもって、すばらしいパートナーシップを結ぶということだ。

再びBrooks。この新しいメタデータに関する方針が、これらの統合作業やベンダーとのパートナーシップに影響するとは考えていない。それどころか、このオープンな方針はパートナーシップを結んでいないベンダーにとって、EBSCOのメタデータをさらに強化することになるだろう。たとえばEx Librisとはこの5月、 Orbis Cascade Alliance (OCA) のディレクターがEx LibrisとEBSCOに対して、情報共有の合意に到達しそびれていると批判した際に、この2社はデータ共有について、議論した。OCAはEx Librisの図書館サービスプラットホームであるAlmaをPrimoともに、Primo Central Indexを使いながらそのディスカバリーレイヤーへと退避させた。


Brookいわく、EBSCOは今でもEx Librisの顧客たちにPrimoを通じてEDSのAPIを利用するオプションを与える決断を期待している間に、新しいメタデータの提供方針はOCAに、Primo Centralを通じて「我々の巨大な量のメタデータ」にアクセスさせる。そしてそれは0から129までのデータベースに、0から55万以上のebookに、0から70以上の歴史的デジタルアーカイブへアクセスさせるということだ。そのため、EBSCOとEx Librisの間でかわされたこの取組は、EBSCOのデータベースやebook、デジタルアーカイブを所有するOrbis Cascadeのような顧客に大いに利益をもたらすだろう。そしてPrimo Centralにおいても、Ex LibrisのEDSをディスカバリーサービスとして選択したILS(統合された図書館システム)の顧客と同じくらいうまく、機能することを望んでいる。