klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

「オープンアクセス,インパクトファクター,XML-Nagoya J Med Sci編集の現場から-」(『情報の科学と技術』65(8)より)

読んでみて面白かったので簡単にメモしておく。


蒲生英博「オープンアクセス,インパクトファクター,XML-Nagoya J Med Sci編集の現場から-」『情報の科学と技術』65(8)
2015. 08 特集= ISOと標準化 | 情報科学技術協会 INFOSTA


名古屋大学の医学分館に所属されている蒲生さんによる、名大の医学部で発行している学術雑誌(あえて紀要、ではなく)の編集作業について、プラットフォーム作りを中心に紹介されている。

Nagoya Journal of Medical Science

独自のホームページを作成し、OAとして公開されている。現在のところ、機関リポジトリと両方に登録されているそうだ。統計はどのように取得されているのだろう?

『Nagoya J Med Sci』の特徴の一つは、IF(インパクト・ファクター)。それによるとWoSに3年以上収録される必要があるという。その他にも、申請が受理されるために、投稿規定を整え、EndNote Output Styleを用意、DOAJへの登録などを経て、審査を通り、受理された。そして2013年より、IFがリリースされている。

トムソンには、年間2,000点近くが申請され、そのうち受理されるのは1割程度だそうだ。

ジャーナル収録基準 - トムソン・ロイター

もう一つの特徴であるXMLの作成に関連して、面白いなぁと思ったのは、PubMed更新について。もともとOA化される前からPubMedへの収録は行われていた。そしてOA化された後も、印刷物のときと同様にNDLにコピーして送り、NMLが索引化している。XMLを作成することで、結果としてPubMedへの登録も早くなる(PMC→PubMedへデータ更新を行うため)というメリットをもたらした。雑誌の発行後の3-4週間後にはPubMedに掲載されるようになったらしい。

話は前後するが、PMCへの登録はXMLがマストらしい。

Add a Journal to PMC

3. PMC's Technical Requirements

Required Files

A journal must provide PMC with the full text of articles in an XML (eXtensible Markup Language) format that conforms to an acceptable journal article DTD (Document Type Definition). PMC does not accept articles in HTML format.


論文の最後でも言及されているが、今後の課題としてDOIを他の紀要論文への付与という点も言及されていた。
たとえば、静岡大学さんの発表資料を読んでいると「2大学の機関リポジトリで重複して公開」している『教科開発学論集』は、ウェブサイトとIRで公開されている『Nagoya J Med Sci』と似ているのかなぁと思ったり。

静岡大学学術リポジトリのDOI付与
http://www.nii.ac.jp/irp/event/2014/OA_summit/docs/1_04.pdf