Article Sharingについて(ユサコニュース 第267号 論文共有をめぐる出版者の動向より)
ユサコニュース(11月)を(いまさら)読みながら、面白い特集だと思った。
ビッグディールが揺らぎ始めたり、インターネットインフラの益々の強化だったり、(デバイス等の)共有化・個別化が進んだり、色々な要因が影響しているとは思うけど、研究者の間の論文共有。先日、こんなニュースを聞いたばかり
ユサコニュースで取り上げられていたのは、このような動きを受けて、国際STM出版社協会がどのようなことをしているかというものだった。
国際STM出版社協会
曰く、論文共有に研究者がよく利用しているプラットフォーム(SCNs:Scholarly Collaboration Network)と)は、Academia.edu、ResearchGate、Mendeley。Mendeleyは文献管理ソフトじゃ?とおもいきや、それ以外(以上の?)活躍を果たしているらしい。これは当初から研究者のSNS的だと言われていたことからも伺える。
私自身が肌身で実感したのは3年位前だったように記憶している。「分野にもよるが分母の大きいところだと、検索エンジンとしても使える。PDFもダウンロードできる」というような使い方を当時の院生から教えてもらった。
文献管理ソフトと論文共有の動きは、Mendeleyだけではない。
ユサコニュースの続き。この国際STM出版社協会で発表された声明は下記の通り。
これは2015年の2月に、SCNsワーキンググループが、SCNsでの論文共有における自主的な原則案を公開しコメントを募集した上で、同年8月に改訂版が発表されたもの。
国際STM出版社協会、学術的なネットワークにおける自主的な論文共有の原則案を公開し、意見を募集 | カレントアウェアネス・ポータル
そこには、SCNsワーキンググループ議長のFrederick Dylla氏(AIP)によるスライドが公開されている。
Voluntary principles for article sharing on scholarly collaboration networks
そこで、図書館への言及があった。ユサコニュース(翻訳済み)をそのまま引用すると、「出版者と図書館は提供サービスの利用者の傾向や提供サービスの質評価のためにもCOUNTERなどの標準規格で共有のタイプや総量を把握できるようにすべき。」とある。
思ったことは2つ。1.アーカイブや所有(契約含め)への言及がない、2.利用統計を活用する可能性、である。
1つめは研究者による論文共有についての指針なので、まぁそうなのかもしれない。2つめは各図書館が持っているであろう利用統計にはどんな使い方があるのだろうか、ということ。
利用統計の活用でいちばんに思い浮かぶのは、契約の時である。これについて、今年度のNII実務研修に参加された浅野ゆう子さん(筑波大学)のテーマ「電子リソースの利用統計の収集・管理および活用方法に関する調査」が近いなぁと思って拝見させていただいた。
教育研修事業 - 国立情報学研究所実務研修 - 過去の記録 - 平成27年度
その他にあるとしたら何だろう?機関リポジトリはダウンロードランキングなどを発表されているところも多い。電子リソースではないけれど貸出ランキングもある。各機関の利用統計をオープンにする日も来るのだろうか?それをオープンデータ化する日も来るのだろうか?
閑話休題。
Elsevierが出版者版を機関リポジトリに掲載することが認めたり、
www.elsevier.com
WileyがArticle Sharing Policyを発表したり、
Article Sharing Policy - Wiley Online Library
上記のNatureの動きだったり、これからどんどん出版社の動きも見えてくるのかなと思った。
2016.1.9追記
コメントで「STMの動きがElsevierの新ポリシーの引き金だった」をいただいた。
自分用にメモ