klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

Electronic resource management

気になるキーワードを調べる短記事シリーズ。

個人的な記憶だが、Electronic resource managementという単語を最初に聞いたのは、NIIによるERMSの実証実験だったような気がする。

www.nii.ac.jp

その後、勤め先でERMSを触る機会もなく、また全国にどんどん広がっているという話もあまり耳にせず(いくつかの大学では導入されているものの)、気になるような忘れかけていた。

昨日の記事の参考文献でもある「Electronic Resource Management Handbook」をざざっと見ていると、Electronic resource managementとはどんなものを含んでいるのか、がなんとなく見える(ような見えないような…)

www.uksg.org


そんな中で最近、第14回これからの学術情報システム構築検討委員会の議事録と配布資料を読んだ。

www.nii.ac.jp

配布資料には、何箇所か「ERM」についての言及がある。それによると、コンソーシアム版のERMの導入を検証するようである。単独で導入している機関はあるが単独導入できない機関でも、電子リソースの管理業務の合理化を図ることが狙いらしい。ただし、全国みんなで同じコンソ版を使う方向にするのではなく、(今現在)無いところでも使い物になるのか、というのが検証の要点。

コンソーシアムで購入していないパッケージのことをどこまで検討に入れるのか(管理する対象を広くすると仕様書が大変そう)等々、気になることも多く、今後の動向を追っていきたいと思う。

気になった話題その2。それでは商用ERMとコンソーシアム版はどう違うのか、まだぼやっとした理解しかないのだけど、コンソーシアムで電子リソースを購読しているのでそれらを管理(し、評価する)ツールは必要になるのだろう。そのためコンソーシアム(というかナショナルな)ERMが登場する。い一例として、英国のOpen Universityの事例報告を読んだ。

www.eventbrite.co.uk

スライド資料は以下より。

Events and Training :: Jisc Usage Statistics Portal

Open University*1は22スライド目から。Open Universityは2014年から、JUSPのデータをUStat(ExLibrisの統計ツール)に投入して分析をしているらしい。つまり、JUSP(ナショナルな統計管理サービス)のデータを、商用統計管理ツールで管理しているという。コンソーシアム版と商用版は使い分けがされているのだなということが垣間見えた。また、同大学では2015年からAlmaを実装を開始したそうだ。Almaとは冊子・電子などの媒体を問わず、図書館が扱う情報資料を単一のプラットフォームで管理する「次世代図書館サービスフレームワーク」らしい。*2*3*4


www.exlibrisgroup.com


現段階で分かる範囲をまとめてみた。

メーカー Ex Libris→ProQuest ProQuest EBSCO OCLC
ナレッジベース SFX KnowledgeBase Knowledge Works EBSCO Integrated Knowledge Base WorldCat Knowledge Base
Discovery Service Primo Summon EBSCO Discovery Service WorldCat Discovery Services
ERM Verde*5、Alma*6 360 Resource Manager ERM Essentials WorldShare License Manager

表のもとになったのは、2012年の図書館総合展の伊藤民雄さんの発表資料。

2012.libraryfair.jp

この表をアップデートさせるつもりだったが、買収があったり、Almaをどこに位置づけるべきか悩んだり、Electronic resource managementという概念もアップデートされているのかもしれない。このあたりをもう少し、整理したい。

*1:話はそれるがこの大学は面白そうだと思う。放送大学のモデルになった大学のようで、訪問してみたいと思いつつ、立地面から難しいそうだなぁと。難しかった。

*2:「Almaの近況」ユサコニュース 第248号 http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_3_8562.html

*3:図書館システムベンダとユーザ会の共存―IGeLU大会<報告>カレントアウェアネス http://current.ndl.go.jp/e1489

*4:伊藤裕之「次世代型図書館業務管理システム「Alma」」薬学図書館 57(4) 

*5:2016.8.16追加。コメントよりVerdeの開発は終了しているそうなので二重線を入れた。

*6:Almaは図書館システム、ERMS、リゾルバを組み合わせたものなので正確にはここではない