klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

Serials Price Projections for 2017

ここ最近は、腑抜け状態になっているのでリハビリ代わりにこれを書いている。電子ジャーナルのコストの話から「これを読んだらいいよ」とおすすめされたものをようやく読んだ。

Subscription Services | 2017 Serial Price Projections | EBSCO

EBSCO Information Servicesが発表しているJournal価格の世界的動向についての報告。4ページ弱という短い文章なので、紹介も何もないのですが…

まずは、2017年は5-6%ほど価格が上昇するとのこと。これは契約担当だったらお馴染みかもしれないが…
つづいて、市場動向について、アメリカドルとアメリカ経済の支配力の拡大に伴い、アメリカとそれ以外において格差が生まれていると言う。オーストラリアドル、ポンド、カナダドル、ユーロ、ニュージーランドドル南アフリカ、米国ドルについて、対USドル、ポンド、ユーロ別の価格上昇率が一覧されているが、特にポンドの上昇率が目立っている。それにはイギリスのEU脱退が影響しているという指摘も。

図書館系の文献、特に英語の文献を読むときは、ついつい、細部が気になって入り込んでいくように文献を探していく傾向にあるのだけど、これを手にとって「そうだ。政治経済と言う大枠を忘れていた」ということを思い出した。政治経済というより、我々が位置している枠組みの把握というのか。

おもしろいと思った箇所として、卵とバスケットの比喩を紹介する。
出版社の倒産と統合、財政不安と予算削減、その結果として図書館は「安全なバスケット(出版社)に大部分の卵(ジャーナル)を入れよう」という傾向が強まっているという指摘だった。安全なバスケットというのは財務上の安定ということ。この文献を紹介してもらったライブラリアンが働く大学では、4つ契約していた電子ブックのアグリゲータを精査(コンテンツ、利用統計、価格…など)した結果、1つに絞ることで経費削減に成功したそうだ。この傾向は、出版社だけでなく書店も同様に(私の知る限り、お取引する書店はどんどん少なくなっている)より強くなるのかのもしれない。

GOAジャーナルを刊行していないためか、OAジャーナルについて1段落ほど簡単に指摘がされている。GOAジャーナルは出版モデルのオルタナティブとして新しいビジネスモデルを牽引する一方、学術情報コスト削減にはあまり寄与していないということ。