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klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

学術コミュニケーションと大学図書館の予想される未来(第18回図書館総合展)

日時:2016年11月09日 (水)
場所:パシフィコ横浜
登壇者:
Neil Jacobs(JISC)
深貝保則 (横浜国立大学教授)
コーディネーター :
佐藤義則 東北学院大学教授
土屋 俊 大学改革支援・学位授与機構教授

www.libraryfair.jp

そのうちに資料などがアップされるであろうから、簡単にメモしておく。

7年ぶり2度目の図書館総合展。別の仕事が入っており、途中下車をしてきた。滞在時間4時間だったので、資料が欲しかった業者さんのブースと、自分のところのポスターを見て、フォーラムに参加してあっという間だった。

到着して早々に久しぶりな方にお会い出来たり、メールを通じてさんざんお世話になった人に偶然にもご挨拶できたり、たまたま隣に座った方が同じ某事業に参加する人だったり。

フォーラムを聞いて感じたことを3つ。

  1. offsettingってはじめて知った
  2. プラットフォーム合戦がOAの世界にも起こっている(より強力なプラットフォームを持ったところが勝ち)のか?
  3. 「信頼(trust)」ということ

順を追ってメモを書き出しておく。
最初に佐藤先生からRichard Poynderに代わって、彼のクリフォード・リンチとの対談記事について紹介された。

poynder.blogspot.jp

各見出しはこのようになっている。

  • Disappointment
  • Conundrum
  • Where next?
  • Resistance
  • Third-time lucky
  • The interview with Clifford Lynch


「Disappointment(失望)」からはじまって、どういうことだろう?と思っていたが、失望というのはOMI-PMHもIR(機関リポジトリ)も、当初のその目的を達成することができなかったということらしい。それはコンテンツのarticleの割合が増えないことなどが挙げられる。IRの目的や意義について様々な人が言及している。たとえばリンチが2003年時点ですでに、通常の出版で扱わないもの(研究データなど)に言及した一方で、IRを新たな学重情報流通の中核を担うものとして期待する声もあった。しかしながら、IRは出版のオルタナティブになりえなかった。さらに巨大なゴールドOAの登場、AtyponをWileyが、SSRNをElsevierが買収、Elsevierとフロリダ大学がIRについてパートナーシップを結ぶことに成功、という新たな局面も迎えている。

出版社にとってグリーンOAやIRって儲かるもの(というと語弊があるが)なんだ!?というのが最初の感想、すこし時間がたってプラットフォームは大事だから、どう主導権を握るのかというのは鍵になるのだろうか?というのが今の感想。

ぼんやりと、先日テレビでみた番組を思い出していた。ここで登場する企業は特殊すぎるけど。

日本の場合は言語の問題や紀要などが、違う要因として組み込まれるのかなぁと。そもそも日本語コンテンツの相対的な重要度も変化していくだろうし。

個人的には全文クロールとメタデータについて興味を惹かれた。OAI-PMHがメタデータのみをハーベストしていたのは、容量もしくは技術的な問題だったのだろうか?メタデータと全文に重要度などの差をつけると面白そうだなぁと思った。

つづいて、Neil Jacobs氏の講演。通訳、お疲れ様でした。個人的な話だが「あの時の話がここに繋がった」わかりやすく聞けました。
イギリスのOA(セルフアーカイブ含む)を推し進める最大の要因は、助成団体のポリシー、これにつきると思う。主要な団体としてRCUKとHEFCEがあり、それぞれが助成する基準としてOAを謳っている。RCUKはGOld推し、HEFCEはGreen推しという違いはあれどOAポリシーが研究者のOAを促進している。助成団体のみならず各機関や大学もOAポリシーをもっていることが多く、JISCはそれぞれのポリシーやOAを進める上でのワークフローに齟齬がでないようなサービスを提供している。

www.jisc.ac.uk

この度のフォーラムではじめてoffsettingを知った。これはつまり、購読+APCをセットで支払うというもの。たとえば、Springer Compactがこれに該当する。

Offsetting models: update on the Springer Compact deal | Jisc scholarly communications

これでコストが減る理由がピンときていないのだけど、ハイブリッド誌において、購読とAPCをバラバラ払う(しかもAPCは著者からそれぞれ支払う)よりも電子リソース周りのコストが把握しやすくなる⇒それによる合理化?という理解をしている。
JISCとしてはこのoffsettingを過渡期として推進することで、コスト削減を目指しているよう。offsettingにおける原則のなかで「バウチャーではなくキャッシュで」という点が挙げられており、講演後になぜですか?とNeilさんにお聞きすると「バウチャーは期限があるから」という回答をいただいた。その時は「あーなるほど」と思っていたが、期限がなければOKな話なのかな?という新たな疑問も。通貨(キャッシュ)以外にコストを計算する要因は少ないようがいいからなのかな。(バウチャー管理はそれはそれで大変そう)

後半は研究データについて。FAIRというフレームワークにのっとり、英国におけるポリシーが策定されている。

www.jisc.ac.uk

さらに

ec.europa.eu

ポリシーにつづいて、研究データおよびオープンサイエンスに関する実装(implementation)について紹介された。
ポリシーがその底辺を支えるものとして、計画から引用までを網羅する図が示された。

Jisc RDM shared service pilot

お話のなかで何度が「trust」という単語が出てきた(たぶん)。信頼できるリポジトリ、信頼できるデータを担保するために、それらのコンテンツがどういう背景で作成され、収集され、公開されたのかを示す必要があるという。そのためのポリシーであり、フレームワークであり、スキーマであり…等々。信頼性というのは科学の営みそのものであり(という理解)、それを担保するためにここまでの枠組みを用意する必要があるのだなぁ…と。