klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

『”医療”+”映像”のいま』〜先端医療現場における、映像・CG技術の利活用を学ぶ〜

講演名:『”医療”+”映像”のいま』〜先端医療現場における、映像・CG技術の利活用を学ぶ〜
講演者:杉本真樹氏(神戸大学内科学講座消化器内科学分野 特命講師)
場所:宝塚メディア図書館 ルネサンスルーム
日時:2010年9月18(土)17:00-19:00
URL:http://medialib.jp/event/1706
2010年、iPadの登場によりさらに広がった
「医領解放」の可能性をレクチャー −神戸大学杉本真樹氏を迎えて−
内科・外科などの医療現場で研究され続けている画像/映像化技術は、“iPad”などの新たなモバイル情報端末の発売を契機に、新たなステージへ突入した。
特に「iPadとの連携」を取り入れた画像/映像化技術の取り組みとして、神戸大学医学部の杉本真樹医師による“OsiriX(オザイリクス)”を用いた手術法,医学教育が注目を集めている。
当日は杉本氏を招き、体内の見えざる病巣を 画像/映像診断で明らかにし、治療へ活用する医療の可視化技術と、進化し続ける映像・CGを活用した手術法、教育法、さらにヘルスケアから地域医療への展開をご紹介しながら、実体験できる講演会を開催します。
主催:サイエンス映像学会

この度の講演会は少し自分にとっては変り種でした。宝塚メディア図書館に一度行ってみたいという動機も手伝って、参加してきました。
以下、当日のまとめなどです。聞き取った範囲ですのメモ書きですので、その点をご容赦いただければ幸いです。
お名前で検索するとたくさんの記事がヒットしますが、簡単なプロフィールとご著書を紹介します。
Apple社のページより
http://www.apple.com/science/profiles/maki/
神戸大学より
http://www.med.kobe-u.ac.jp/gi/sugimoto.html
OsiriX Navigator
http://itunes.apple.com/jp/app/osirix-navigator/id380437199?mt=8

消化管・肝胆膵ベッドサイドイメージング―フリーソフトウェアOsiriXでつくる3Dナビゲーション

消化管・肝胆膵ベッドサイドイメージング―フリーソフトウェアOsiriXでつくる3Dナビゲーション


こちらの著書の表紙デザインや写真撮影、写真のモデルはご自身で行われたそうです。
続いて、お話のポイントとして、「医領解放」、医療の可視化、OsiriX、医療情報の電子化、リーダーとフォロワーからまとめます。

  • 「医領解放(Global Medicine)」
    • 医療崩壊は技術や知識、医療機器、システムなどの独占と格差という「医領鎖国」にあるのではないか
    • 地域の病院での勤務経験から、医療格差を埋める手段として電子化(カルテ、オーダーシステム、フィルムレスとしての画像配信)
    • 解放することで病気以前の医療、健康、生活に役立てることができる
  • 医療の可視化
    • 画像のもつインパクトや分かりやすさが「医領解放」をすすめる
    • 医療機器はソフト、ハードのコストがかかる
    • 高額な医療機器でなく、パソコンが使う
  • OsiriX
    • CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像処理するオープンソースのソフトウェア
      • ジュネーブ大学の医療チームが製作し開発にも関わった
    • OsiriX オンライン解説文書によると、Antoine Rosset, M.D. により開発され、アップル社製マッキントッシュコンピュータを、医用画像表示や画像処理用DICOM PACS ワークステーションとして使用可能にする、オープンソースプログラム
    • iPhoneiPod touch および iPadに対応
      • 持ち運びが容易になる
      • 看護師や病理診断の担当者とも情報共有が容易になる
    • 2D,3D,4Dへ画像を変換
      • 血管や臓器の位置をより正確に把握できる

      • Luciferinを利用したImage overlay Surgery
  • 医療情報の電子化
    • キーワードは、virtual to real(地図を持って街へ), friendly, simple, global, reality(Image overlay Surgeryなど), smart
    • 現場での活用
      • カンファレンス、回診に役立てる
      • 検査診断から治療戦略をその場で行う
      • 手術時に手元にiPadを置く(カバー+手袋でも動くそうです)
    • 医療教育への活用
    • 小形端末機器の特徴
      • 分かりやすい操作性
      • キーボードがないため、汚れがつきにくく院内感染の防止に?
    • ユビキタスヘルス
      • 医療、健康、生活へ医療情報が活用される
      • 地域格差の解消(事例:Medical Modalities)
      • ドクターヘリにiPhoneを載せる試み
    • 医療クラウド情報
    • 患者が自分の医療情報にアクセスしやすく
    • 遠隔医療(戦地や宇宙へ)
    • 他分野への応用
      • 学校教育(computed anotomy)
      • 裁判の資料(全国初の裁判員裁判では、殺害された被害者の傷の状況を説明するために14枚の3DCG画像を制作した瀬尾拡史氏)
  • リーダーシップとフォロワー

最後の質疑の中で、OsiriXは患者のデータからつくるため、非医療従事者にとって、アニメ感と抵抗感のある生々しさのちょうど中間にある、それが学教教育に活かすことができるのではないかというお話が面白いなと思いました。また、医療情報を自分であるいは家族で管理することの可能性を感じ、また情報リテラシー(誰にどんな情報、教育が必要なのかとか)、機器を利用する力について考えさせられました。
ちなみに、9/25にアップルストア銀座で「iPhone/iPad in Medicine:医療3.0」が開催され、杉田先生はこちらにも登壇されるそうです。
http://www.newton-graphics.co.jp/archives/471

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ここで、会場になった宝塚メディア図書館についてご紹介します。宝塚メディアライブラリーは、宝塚メディア図書館は、写真、映像、美術、デザイン、音楽、サイエンスをメインにしたオーディオビジュアルライブラリーです(HPより)。阪急逆瀬川駅から徒歩3分とアクセスもよく、サイエンス映像学会、異文化コミュニケーション財団の事務局があります。


1992年に畑祥雄氏(写真家、映像プロデューサー、関西学院大学教授・サイエンス映像研究センター長)と中川繁夫氏(写真図書館創立メンバー/初代館長)の個人蔵書の寄託をうけて開館した「写真図書館」を基盤に、写真を中心にして、上記に挙げた分野に関する国内外の写真集、作品集、展覧会カタログ、評論集、新聞雑誌、AV資料など33,000点を所蔵し、公開しています。
有料会員になれば貸出やコピーサービスを受けることができます。こちらは、スクールやセミナー、講座がサービスの重要な部分を占め、講演会なども充実しています。また、フリーペーパー「本のある風景」も発行しています。
医療・サイエンスコーナーは2009年に新設され、林勝彦氏(科学番組驚異の小宇宙「人体」プロデューサー)から寄託を受け、科学を楽しめる図鑑や漫画なども含まれた書籍も含まれているそうです。また、宝塚・逆瀬川地域の活性化にも積極的に関わっているそうです。

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2010年9月20日 一部修正。
Luciferinは可視化に利用していますが、Image overlayの際には使用していません。申し訳ございません。また、ご指摘いただきありがとうございます。