klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

Student CASPワークショップに参加してきた

第十回Student CASPワークショップ
日時:2015年6月21日
場所:神戸薬科大学
使用論文:Withdrawal of inhaled glucocorticoids and exacerbations of COPD. New England Journal of Medicine, 371(14), 1285-1294.

CASP(Critical Appraisal Skills Programme)の目的は、医療や保健の現場で判断をする職種に就いている人だけでなく、その判断に関わるすべての人が、その根拠をわきまえた上で判断し行動できるように支援することです。 CASPは英国オックスフォードでの市民のための健康支援活動(PHRU: Public Health Resource Unit)の一部として始まりました。この理念に基づく行動を広く提供しています。このCASPの理念と活動を国際的に広げることを目的にしたネットワークがCASP internationalです。CASP JapanはCASP internationalの支援を受けながら日本を対象に活動しています。 (http://casp-japan.com/より)

CASPワークショップでは、その手法や形式に一定の形があって、どんな初心者であっても、どんな背景を持った方でも、楽しめる形になっています。実際に英国で開業医や病院の医師単位から、訪問看護婦、一般市民、図書館司書、助産婦、更にこれらの複数の職種からなるチームそのものを対象にしてワークショップが全国各地で開かれています。(当日資料より)

EDMと図書館(職員)の関わりを知りたくて、誘っていただいたのをきっかけに、おじゃましてきました。ワークショップの内容は後日、報告書がまとめられるので、どんな準備をしたのか、どのように感じたかをメモ。

5月下旬:参加を決める
5月下旬:使用論文の連絡を受け、とりあえず印刷する。アブストラクトだけに目を通す
6月上旬:チェックシート(これに沿って議論していく。論文を読む目安)
6月2週目:チェックシートにしたがって本文を読み始める(全てはできなかった…)

こんな感じ。ど素人なので、補助資料として以下のものを紹介してもらった。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン

当日、参考になる情報源をいくつか紹介いただいた。
医学書院/週刊医学界新聞(第2971号 2012年03月26日)

GOLD - the Global initiative for chronic Obstructive Lung Disease


A randomised cross-over trial investigating the ease of use and preference of two dry powder inhalers in patients with asthma or chronic obstructive pulmonary disease. Expert opinion on drug delivery, 10(9), 1171-1178.

同じ班には同業の先輩の他、チューター、薬剤師、薬学部の学生さんがいらした。EBM概論、RCT(今回扱った試験名)、呼吸器疾患のについてのレクチャーをはさみつつ、半日かけて1本の論文を検証しながら読み、発表、他班の解釈を聞くというセットを3回繰り返し。

EBMのステップに沿って検討する。
step 1:疑問(問題)の定式化
step 2:情報収集
step 3:情報の批判的吟味
step 4:情報の患者への適用
step 5:step 1~step 4のフィードバック
ワークショップでは、ステップ2をショートカットした5つのステップをグループワークで取り組んだ。

図書館とEBM、私が前もって読んだのはこの辺り。

ci.nii.ac.jp
EBM・診療ガイドライン
EBM実践支援ツール|奈良県立医科大学附属図書館
日本医学図書館協会の診療ガイドライン作成支援事業に参加して(奈良県立医科大学附属図書館. 鈴木 孝明)

CiNiiの最古記事はci.nii.ac.jp

15年前の記事。医学図書館歴2ヶ月が、このようにワークショップにふらっと参加させてもらえるのは、この積み重ねの上に成り立っているのと、そして医学という学問の裾野の広さなのかなぁと。

ワークショップは全部で8時間弱くらい。未知の世界の話を聞いて、自分なりに理解するのは、楽しいと同時にけっこうハードだった。専門家のとお話をしっかり聞くというのは、物凄く訓練になった。たぶん、異なるバックグラウンドを持つ人間がどうやって連携するのか、というのをシュミレートする場なのだと感じた。チューターの先生や、他の参加者もかみ砕いてお話いただいてありがたかった。

コーディネーターの高垣先生とちょっとだけお話させていただいた。仕事の現場で何ができるかなぁとか、どんなおしながき(我々が何者で何ができるのか)を提示できるのかなぁという思いが横切った。