klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

機関リポジトリと識別子

気になることを調べる短記事シリーズ~リハビリ編~

ふと、複数の機関リポジトリ、あるいは機関リポジトリと出版社サイトというように複数のサーバから論文が公開されることの問題ってなんだろと考えて、ひとつは利用統計がばらけること?と思った。そして、それって論文の識別子のもとに集計できればいいのでは?とも思った。

もうひとつPost-printは出版社版と原則は同じ内容だけど、"違う"ものだから機関リポジトリのコンテンツに、DOIを付与できない(ここでいうDOIは学位論文とか紀要論文に対して、機関リポジトリが付与するDOIではなくて、出版社版のDOI)。

つまり、Post-printを認める出版社はその条件として、自社サイトへのリンクを挙げることが多いが、それは「機関リポジトリのコンテンツと出版社サイトで公開されているコンテンツが同一である」ということを示すのではなく、「Post-printはあくまで出版社版への補助(というべきかなんと言うべきか)」だからDOIをURIを記述することが求められているのだろう。たとえば

Furthermore, the author may only post his/her version provided acknowledgement is given to the original source of publication and a link is inserted to the published article on Springer's website.

www.springer.com

最初の疑問に立ち返って、IRのメタデータに「DOI」という項目を持っていれば、Post-printと出版社版をつなぐことは可能なのだろうか、つまり、出版社サイトとアグリゲーターの利用統計に、機関リポジトリ(Post-print)も加えて「この論文のトータル◯件利用されました」と計算することはできるのだろうか?機関リポジトリだけでなく、Figshareや ResearchGateでもDOIを取得することができるが、それらと出版社版との関係を示す項目は無いのだろうか?

あるいは、ORCIDなどの著者識別子のもとに著者ごとの研究成果一覧を集計すること…は機関リポジトリの取り組みとしてはすでにあるようだ。

IRUS-UK and ORCIDs | Jisc scholarly communications

これはIRUS-UK(英国内の機関リポジトリの利用統計アグリゲーターサービス)におけるORCIDとの取組事例。
研究者DBとしての側面をIRが持つとすると著者名典拠管理のキーとしてORCIDを使っている、らしい。