klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

E-book usage: counting the challenges and opportunities

しばらく何も書いていなかったので、最近読んだものをメモしておく。
電子リソースとかその統計とかについて、関わる機会のなかで「E-BOOKは課題」ということを何度も耳にしていた。

スタートは2年前のE-BOOKフォーラムの報告書。
JUSP ebook forum(2016-07)
http://jusp.jisc.ac.uk/news/JUSP-ebook-discussion-forum-report-20160714.pdf

その1年後にフォーラム後の動きとして、課題と展望について発表された。もしかすると、またそのうち、続報が来るかもしれない。
insights.uksg.org

E-BOOKの利用統計については、EJとは違う課題もある。たとえば購入スタイルについて、DDA(demand-driven acquisition)、PDA(patron-driven acquisition)EBA(evidence-based aquisition)のように利用統計にもとづいて購入方法はE-BOOKに特徴的である。

また、複数のアグリゲーターやパッケージで提供される点もあげられる(High Wireとかあるけど)。異なるプラットフォームをまたがってタイトル単位の利用統計を集計しようとすると、ISBNが付与さられていなかったり、付与されていても各アグリゲーターメタデータが不充分であることでうまく集計できなくなるという。執筆者が収集したいくつか事例が紹介されていたが、のExcelのVLOOKUPを使うような素朴な?方法をとっている館も多いという。共通のIDについての取り組みとして、NBK(National Bibliographic Knowledgebase)というものが紹介された。

https://www.jisc.ac.uk/rd/projects/national-bibliographic-knowledgebase

英・Jisc、コレクション管理や発見可能性の改善を目的とした“National Bibliographic Knowledgebase”の開発を開始 | カレントアウェアネス・ポータル

いわく、KBARTⅡではE-BOOKの正確なメタデータの重要性は認識しており、KB+(ジャーナル)とあわせて電子リソース整備のナショナルレベルの二本柱だそう。カレントアウェアネス-Rでも言及されているように、GOKbと共にパッケージを越えたE-BOOKのをプラットフォームを目指すという。GOKbと違って、なぜKB+とは別に作ったのだろう??

COUNTERに関してはRelease5がひかえているが、現行のBR1(月別・タイトル別タイトルリクエスト成功件数)とBR2(月別・タイトル別セクションへのリクエスト成功件数)との間に互換性がないことが解決事項として指摘されている。また「いま、読めているコンテンツ」が、買い切り・購読・unowned(訳語がわからない…)なのかを見分けられないと、 見直しに活用するには不十分である。反対にサービスの質維持のために「いま、読めていないコンテンツ」が、非購読だからなのか切り替え忘れなのかも重要な情報である。もっとも「使えるはずのコンテンツをもれなく提供しているか」というチェック機能を十分なものにするには、購読管理や予算管理の業務と利用統計がお互いに参照可能な状態になっていないと難しいのであるが。いずれにしても、IDが不十分であるのはE-BOOK管理の上で課題であるということが何度も繰り返されている。

ここで、コンソーシアム/各機関であれ、購入/中止であれ、利用統計の動機にあるのは「いかに予算を効率的にE-BOOKに使うか」という視点である。Webサービスへの活用とか、予算の振り分け(APCに使うとか?)に利用しているところもあるのだろうけど、総論として紹介されるのは、decision-makingを支援する、ということである。ミクロな観点からだと他の動機もあるのかもしれないけど…