klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

OA図書の利用統計:COUNTER R5と Google Analytics

insights.uksg.org

少し前に発行された事例紹介を読んでみた。
2020年4月、OAPEN Libraryのが自プラットフォームがDSpace 6にバージョンアップしたタイミングでIRUS-UKがCOUNTER R5(以下、R5)対応した。
それを好機としてOA図書の主な利用統計ツールであるR5と Google Analytics(以下、GA)を比較したもの。
対象となった期間は2020年4月15日から7月31日、図書と章のダウンロードが対象となっている。

OAPEN LibraryはOAPENが運用する査読付きのOA単行書の検索サービスを兼ねたフルテキストのリポジトリ

current.ndl.go.jp

IRUS-UK (Institutional Repository Usage Statistics UK) はJiscが開発・運営している機関リポジトリのための利用統計アグリゲータサービス。

irus.jisc.ac.uk

話はそれるがIRUS-UKはIRUS-UKが対象としているリポジトリでCoronavirus関連の論文一覧ページを作成している。

https://irus.jisc.ac.uk/coronavirus/

文献のなかで繰り返されているように、R5とGAのどちらかが良いかを決めるものではなく、それぞれのどんな特徴を持っているかを明らかにすることが目的。
そもそもOA図書の利用統計ツールや方法が確立されていないという点も言及されている。
おそらく現時点ではどちらかを選ぶにせよ、両方使うのせよ、それぞの特徴を踏まえることが大切なのだろう。可能なら両方あるとよいのかもしれない。

関連する取り組みとして、過去の文献紹介とともにOpen Access eBook Usage (OAeBU)が取り上げられている。
これはOAモノグラフ(図書)のための利用統計やエンゲージメントデータの信頼性を担保する仕組みを検討する活動である。(2020-2021)

educopia.org

それらの状況を踏まえて、 OAPEN Libraryでは月別、国別、タイトル別のダウンロード数から、R5とGAに見られる違いについて明らかにしていく。
なお、R5はTotal_Item_Requestを、GAはイベントカテゴリのbitstreamを比較対象としている。

wiki.lyrasis.org

  • 全体的な傾向としてはR5(1,600,000件)よりGA(3,600,000件)のほうがダウンロード数が多い
    • COUNTERの判定のほうがより厳しいため?
  • とはいえ両者のconvert方法を単純に比較することは難しい
    • GAはbot削除を行っている
  • 国別比較だとGAの法が数倍も多い国がある(USA)一方でほぼ同数の国もある(オーストラリアなど)
  • タイトル別にみてもダウンロード順位が似ている(順位の差が10未満)のは全体の6%
    • GAのダウンロード数が10倍多いタイトルがある一方で、R5のダウンロード数が多いもののある

論文の評価としてダウンロードは絶対ではなく、オルトメトリックスや引用などとの組み合わせにより総合的に行うというのが最近のトレンドであるようだ。
ただ、総合的な評価の一側面であるダウンロードもなかなか一筋縄ではいかないようで、重要なのは何を選んだか、そのツールにはどんな特徴があるのかを明らかにすることであると締めくくられている。