読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

専門図書館No.260 特集「舞台芸術と専門図書館」

専門図書館』260号は「舞台芸術と専門図書館」が特集されていました。
http://www.jsla.or.jp/1/14/ST/260.html

竹本 幹夫「舞台芸術専門図書館としての早稲田大学坪内博士記念演劇博物館」

1928年、坪内逍遥の発起によって生まれた専門図書館。その生い立ちから閲覧に関しては、利用において無制限。
竹本氏はこの博物館の7代目の館長さんでした(2004.4-2013.3)。

http://www.waseda.jp/enpaku/

その他の特徴として、収蔵資料が幅広い(点数は12-13万、上代・中世~現代まで)常設展と年15回前後の企画展覧会、演劇情報データベース、研究・教育機能などがあげられる。

大学文化資源の情報発信: 演博改革の10年 鳥越館長の時代

大学文化資源の情報発信: 演博改革の10年 鳥越館長の時代

上記の本と関連しますが、広報についても触れられていました。広報担当の部署を設けたり、プレスリリースや取材協力などに取り組んでいるそうです。

しかしながら、演劇博物館のような組織は、大学が唯一持っている対外発信の機構でもある。自大学の学生への還元のみを考えていてはいけないのであり、常に社会還元を念頭に置かなければならないはずであろう。

荒井 賢一「神奈川県立青少年センター演劇資料室」

1952年、横浜演劇研究所が設立され、それを母体として、チラシ、パンフレット、ポスターなどの収集と一般公開からスタート。

http://kenenren.org/Project/%E6%BC%94%E5%8A%87%E8%B3%87%E6%96%99%E5%AE%A4.aspxhttps://twitter.com/engeki_shiryou

演劇研究所はアマチュア演劇を基盤としており、こららに関する資料は観劇時や劇場で集める、というまさに足で稼ぐ活動でした。
また、研究所で開催した演劇展で蒐集した資料も合わさって、蒐集と収容スペースという困難さを解決しながらの半生記でした。

2005年、神奈川県立青少年センターのリニューアルをうけて、新「演劇資料室」がオープンしました。
図書8,000、機関紙5,000、上演資料が利用可能です。
資料室の特徴は、サービスの面では開架式書架と貸出が可能という点です。コレクションの面ではアマチュア演劇、中学・高校演劇のための脚本、演劇書は突出していると思われます。そのため、演劇をする学生が、脚本選びに多く利用しているそうです。
目録はウェブサイト上で公開されています。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f100199/p7508.html

この演劇研究所の事業のひとつとして『日本戯曲総目録』があります。1880年から2010年に出版された戯曲を収録する企画で、現在も改訂版が執筆中です。

演劇資料室には多くの個人、団体から図書、資料が寄贈されております。公共の施設であることから信頼されての寄贈だと考えます。演劇資料室はこの信託に応えてより多くの人たちに利用いただくよう努力をつづけます。

古川 知可子「ピッコロシアター資料室~小さな資料室の歩み~」

http://hyogo-arts.or.jp/piccolo/guide/library/

1978年、尼崎市にピッコロシアターが誕生。当時の副館長である山根淑子氏の個人蔵書を丸ごと持ち込んだかたちでスタートしました。
現在、17,000冊の蔵書を所蔵しています。図書であれば利用者カードを作成し、貸出が可能です。ここは上述の演劇資料室と似ています。
コレクションの特徴は台本コレクションです。このコレクションは、中学・高校生、大学生などが台本探しに役立てているそうです。台本に、出演人数、ページ数、テーマなどをまとめた「高校演劇・ピッコロフェスティバル台本リスト」という取り組みが面白いなぁと思います。上記の資料室でも言及されていましたが、台本探しに、戯曲ならではのメタデータが必要な点も、演劇の専門図書館である資料室の特徴が現れています。
これらの資料を使って、上演と連動された企画を展しています。また、シアター主催のフェスティバルで上演された中学・高校生の演劇公演の台本も保存され、一般に出版されていない貴重な資料も蒐集されています。

その他、演劇に関するスクラップブックというのも長く続いている資料室ならではの、時間をかけた取り組みです。

普段は、一般の利用者に混じって、ピッコロ劇団員が戯曲を読んだり、ピッコロ演劇学校の自主研究会が開かれるなど、資料室は、日常の劇場風景に溶け込んでいます。

(独)日本芸術文化振興会館調査養成部 資料サービス課「伝統芸能情報館」

http://www.ntj.jac.go.jp/tradition.html

2003年に開館、それまでは国立劇場(本館)と国立演芸場でおこなわれていた、資料の収集、閲覧、展示、試聴室、映画会を一体して行うことに。
主な収集資料は伝統芸能に関する図書、逐次刊行物、筋書と博物資料に分類される。平成24年度末に図書資料268,421冊、博物資料398,404件。これらは寄贈によって支えられているそうです。
情報館は閲覧フロアや展示フロア、レクチャー室などで構成されています。ミュージアムとライブラリー、教室(スクール?)があわさった複合施設ともいえます。

  • 文化デジタルライブラリー
    • デジタル技術により集積、保存した情報をコンテンツ作成、配信
    • 単純な公開だけでなく、「調べる」「見る」「学ぶ」という教育機能も
    • 配役の人物履歴もリンクされている
    • 舞台芸術教材26、錦絵・ブロマイド約14,000、能楽資料約2,000、蔵番付約500、上演記録情報約5,000公演

平成24(2012)年度の文化デジタルライブラリーへのアクセス件数は473,258件であった。今後も広報・周知に努めながら、教育現場の多様なニーズに答えられるように質・量ともに充実したコンテンツを作成していく。

宮本 圭造「野上記念法政大学能楽研究所の60年」

http://nohken.ws.hosei.ac.jp/

1952年、能楽研究のための施設として法政大学に設置。野上学長の名前にちなんだこの研究所は、戦後間もない頃から、能楽に注目し、されました。
宮本氏はこの研究所の現在の所長です。
設立当初から、研究・資料収集・普及の三本柱を掲げ、活動を続けています。初期は文献的資料の収集に力を入れていました。
研究所設立前から、大学図書館の予算枠を使うかたちで資料収集は行われていたそうです。印象的だったのはその頃、シャウプ勧告による富裕税の支払い費用を捻出するために、富裕層が手放した貴重本が古本市場にあふれていたそうです。資料収集を始めるにはラッキーなことでした。

その後予算がつき、購入した文献のほか、寄贈、各地の資料を写真に収めたコレクションが充実していきました。当初は能面や装束なども収集対象として考えられていたそうですが、予算も範囲や、これらは実際に使われるべきものだという判断で、文献収集に重点をおかれています。

ただし、目録の整備が追いついていないことが課題です。蔵書目録は昭和27年に交換されて以降、発行されていないそうです。寄贈された文庫等についてはそれぞれに目録が発行・執筆されています。

所蔵資料の一部はデジタル化公開されています。
http://nohken.ws.hosei.ac.jp/archives/index.html

能楽研究の機関として、収集した資料をベースにした取り組みも行われています。

来年度より文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定されたそうです。

能楽研究所が所蔵する文献資料に基づく従来のオーソドックスな研究だけでなく、広く国際的・学際的視野のもとに、新しい時代の能楽研究を構築することを目標としている。