FRBRって何を決めているのだろう?その2―実体編
前回に引き続きまして、FRBRについてのまとめです。
いろいろな文献を読んでいくと、邦訳として「実体」や「属性」などがたくさん出てきて、思わず「スピノザかい!」と突っ込みたくなりますね。
それはさておき。
FRBRモデル
- 書誌的実体(書誌を四段階に分けてとらえる)を第一グループの実体(Group 1 Entities)とすると、それらを管理するものとして第二のグループの実体(Group 2 Entities)が存在する。
- さらにWork(著作)の主題として役立つ付加的な実体の集合を第三グループの実体(Group 3 Entities)という。
1.について
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書誌的実体につづく実体は、個人(Person)と団体(Corporate Body)です。
まずPersonはWork(著作)の創造、あるいは主題と関与する範囲に限られます。この場合、生死は問いません。
これらは先にあげた他の実体(Expression,Manifestation,Item)と関連します。つまり、図のように「所有され(is owned by)」「製作され(is produced by)」「実現され(is realized by)」「創造され(is created by)」ます。
Corporate Bodyも同様にまずはWorkとの関係から定義されます。Personと同様にWorkの創造、主題に関与する特定の名称で識別される組織です。四つの実体との関係も同様です。
2.について
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さらにWorkの主題となるものとしての(has as sublect)実体に、Concept(概念)、Object(物)、Event(出来事)、Place(場所)があります。これらはWorkの主題として同じレベルでWorkと関連します。そしてその他の実体(Expression,Manifestation,Item)の主題ともなります。
ここで実体において重要なポイントがあります。FRBRモデルにおいてWorkがあらゆるレベルの基本となりうるということです。
実体として11種類があげられていますが、これらを含むものとしてWorkが位置付けられています。Expression以下10個の実体は、Workとの関係において定義づけられています。つまり、このFRBRはWorkの重層的な書誌階層構造を描いているのです。
- 「源氏物語」というWork
- その複製A、B、現代語訳、英訳…というExpression
- 現代語訳の単行本、文庫本、朗読CD…というManifestation
- 文庫版の所蔵A、B、C…というItem
- 紫式部はPerson
- 光源氏の生涯というConcept
…というように様々な書誌(書誌だけにとどまるのか?)が階層構造の中に位置付けられます。これらは「源氏物語」という「1」としてまとめあげるWorkのもとに定義づけられています。
(補足、というかつぶやき)間違っているのか、理解としていいのか段々と不安になる内容ですが…