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klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

PBL教育フォーラム2014「アクティブ・ラーニングにおける学習支援について考える-学習支援者としての学生の役割と、その可能性-」

日時:2014年11月08日(土)13:00~16:30
場所:同志社大学良心館104番教室
プログラム:
開会挨拶 真山 達志教授
趣旨説明 山田 和人教授

第1部<教員・学生による取組紹介>
 聖路加国際大学 Team based learning:五十嵐ゆかり准教授、堀井桃氏
 京都造形芸術大学 リアルワークプロジェクト:北村英之氏、吉田瑞希氏
 関西大学 ラーニング・アシスタント:三浦真琴教授、山本綾香氏
 同志社大学 プロジェクト科目 スチューデント・アシスタント:伊達立晶教授、木村貴幸氏

第2部<学生によるパネルディスカッション>
 聖路加国際大学京都造形芸術大学関西大学同志社大学
 コーディネーター
  山田 和人教授

簡単なメモ。教員でも教務担当でもない、(学生による学習支援に興味がある)職員視点のメモなので、多分にバイアスがかかっている点をご容赦ください。

その言葉を聞かない日は無いと言っても過言ではない「アクティブ・ラーニング」。その文脈の中で、学生が学生を支援する役割を果たすようになり、その役割の果たし方は様々だということと、学ぶことはそもそも楽しいことで、学問的足腰の強さが大切になるという点において、アクティブ・ラーニングは確かに従来型の授業とは異なる点も多いものの、全く特殊なものではないと感じた3時間でした。

同志社大学PBL推進センターは、「平成16年度より、「社会の教育力を大学に」をスローガンに掲げ、幅広い学びの保証を目的として、担当者公募制度を導入して、プロジェクト科目約25クラスを正課科目として全学部に提供」してきました。そして、この教育フォーラムも4回めを迎えたそうです。

また、この教育フォーラムは株式会社SIGERUが共催しています。

第1部<教員・学生による取組紹介>

聖路加国際大学

聖路加国際大学はTA/SA/LAのようなサポート制度はまだ導入されていませんが、TBL(Team Based Learning)を通じて、学生がお互いの学習をサポートするという仕組みを、授業を通じて作り上げた実績があります。

  • 五十嵐准教授(聖路加国際大学看護学部 周産期看護学
  • 聖路加国際大学は看護系大学で、指定校規則、演習が多いという点で他大学(学部)とかなり異なる
    • カリキュラムが過密
    • それゆえ、学年間の交流が少ない
    • プロフェッショナルな学習
  • 1996年よりPBL導入
  • 2012年よりTBL
  • 1クラスを6名程度のチームに分けて、自宅での予習を基礎に、チームでの学習へと応用する学習
  • 学習と実習への移行をスムーズにする
    • 臨床現場はチーム制
  • 教員はファシリテーター
    • 責任性をもたせる、フィードバック、チーム分けと取り扱い、学習と結束を高める仕掛け
      • チームで課題に取り組むために、予習に手抜きができない
      • チーム分けはそこに操作が無いことを示している(たとえば「1歳未満の子を抱っこしたことありますか」という質問への回答でチーム分けする等)
  • 学習支援者に関する制度はまだない
    • 今後に向けて、リソース、ロールモデル、サポーター、整える人としての「学習支援者」
    • 学習支援者にとって、学び直しやキャリア教育の効果も期待できる
  • 堀井桃氏(聖路加国際大学看護学部4年)
  • TBLの魅力は、積極性があがる高い学習効果と、責任感・達成感・団結力の体感と実習への繋がり
    • 予習課題(例:ウェスネス志向のアセスメントの視点を考えてみましょう)への取り組み
      • 自分で調べ、予習課題について知識を深めてから、講義に参加
      • 予習がとても大変!
      • チームの仲間が勉強する姿に刺激をうける
      • チームごとに得点(成績)を表示し、競争させるしかけ⇒「チームの為に」⇒チームの仲間は、学ぶ仲間であると同時に自分の学習を支え、励ます≒学習支援者⇒「実習もチームで乗り越えよう」
  • 学生が主体的に普段の学習にアクティブ・ラーニングを取り入れることで、知識の定着を促す
  • 学んだことを後輩に引き継ぐ
    • ビデオレターを制作
  • 大学院に進学予定。今後は学習支援者としてさらなる発展に貢献したい
京都造形芸術大学

「仕事」をキーワードにした「リアルワークプロジェクト」におけるTAについて、発表いただきました。大学と地域が連携したプロジェクト(仕事)に従事する学生を、かつての受講生だったTAがサポートする事例を紹介いただきました。

  • 北村英之氏(プロジェクトセンター 課長補佐)
  • 「芸術で社会を変える」
  • 芸大生と社会を結ぶ
  • プロジェクトセンター(2005~)
  • 基本姿勢は、プロジェクトは「仕事」
    • 業務委託契約と適正な対価
  • 2010年よりTA制度を導入
    • 最大の目的は「仕事」としての質の向上
    • そのための教職員のサポート
    • 教育・仕事のいずれかの側面に重点を置くかはプロジェクトによる
  • 授業内の出席管理やミーティング進行、技術指導、学生・教員とのコミュニケーションの他、クライアントとの連絡・渉外を受けもつ
  • TAは原則プロジェクをの経験者
    • 決定権は教員にあるが、慣習的に前年度TAが候補を指名する(8-9割、それで決定する)
  • レポートの提出が義務
    • 月ごとに活動時間を管理し、アルバイト扱いになる
  • 水平と垂直の関係に身を置く中間管理職
    • キックオフからゴールに導く(水平)
    • 学生と教職員を結ぶ(垂直)
  • 中間でいることは、二重でいること
    • 補助者であり、時に意見をいうことを我慢することもあるが、TA自身にも信念やポリシーがある。
    • TAミーティングで受講生だった経験をもとに、TA間や教職員とのコミュニケーションを生み出す
    • プロジェクト活動とそれを担う教職員の省察を促す⇒FD/SD的存在としてのTA
    • ○○以上○○未満
  • 吉田瑞希氏(芸術研究科芸術表現専攻総合造形領域修士1年 陶芸)
  • 近代産業遺産アート再生プロジェクト「まか通」に2010年より所属
    • 2013年度にTAとして活動
  • TAとしての行動計画
    • どんなチームにしたいか、そのために自分はどう振る舞うかという指針を立てて行動した
      • 4-9月はミーティング前に職員と打ち合わせをし、ミーティング中はリーダーやメンバーに確認をとる
      • 10月以降はリーダーと打ち合わせをし、ミーティング中は静観する
  • 鍾馗ワークショップ
    • 前日に場所変更やリーダーの体調不良、さらに自分の院試が重なる事件
    • 自分がいなくとも、主体的に学生が動き、ワークショップを成功させた
  • 東山カルタ大会
    • ミーティング当日に誰もアイディアを提出できなかった事件
    • 当時、受講生だった立場から、TAと学生との信頼関係が大切だと実感
  • 私たちにとってのTAとは
    • 伸ばす、人を動かす、ねじ、裏方、他者を知り己を知る…等など
関西大学

LA(Learning Assistant)を講義の中に取り入れている事例を紹介いただきました。三浦先生の資料によると、2014年度は72クラスに84名のLAが活動されているそうです。先生が担当されている「大学教育論〜大学の主人公はきみたちだ!」の様子を報告いただきました。

  • 山本綾香氏(文学部総合人文学科4年)
  • 最初にクイズを出しながら、「子供の視点」⇒「大人の視点」≒「学ぶ視点」⇒「教える視点」について問題提起
  • 1回生の時に憧れたLAの先輩
  • 2回生からLAとしてスタートするものの課題も多く
    • マニュアルがない
    • 何をすればいいかわからない
  • .学生FDサミットに参加
    • 自分は「何ができるか」
  • 3回生にはLAの勉強会の企画、フォーラムへの参加で自分に自信がついた
    • その反面、グループワークで思わず、答えを全部言ってしまったことがきっかけで、受講生から視点が離れていることを自覚
    • 再び、受講生の立場に戻ろうとする努力を重ねた
  • LAは学生が授業を通じて学ぶ楽しさにたどり着くサポートをする存在
  • 三浦真琴教授(教育推進学部・教育開発支援センター)
  • アクティブ・ラーニングは手法ではない
  • 問いを作る、問いを構造化する
  • 「学生とともに」の意図するところは「履修者以外の学生をつれてくる」という
  • 初年次教育において、「知的プロセス」の想像的・創造的体験を書くとする授業をわかりやすい「かたち」で展開するためのLA
  • 「大学教育論」の最後に流したビデオメッセージを視聴
    • 愉快な仲間たちという感じで楽しそうだった
同志社大学

2006年度から設置されたPBLを基本とする「プロジェクト科目」について、それをサポートするSA・TAの事例を発表いただきました。参考:
CiNii 論文 -  PBLの学びを最大値にするために : 同志社大学プロジェクト科目の場合に即して (特集 大学教育の質的転換に向けて : PBLの有効性について)

  • 伊達立晶教授(文学部 プロジェクト科目検討部会)
  • 全学共通教養科目で、毎年20クラス程度開講
    • 学内外からテーマを公募して決定
  • プロジェクト科目におけるSA/TAは学生であると同時に、教育に関わる一員
  • 1クラスに1名任用
    • SA/TA説明会の実施、SA/TA協議会の開催
    • 教員に対しては、授業運営サポート
      • CNS(キャンパスネットワークサービス)を使わず、LINEなどを連絡手段にしているため、進捗状況を定期的に報告
    • 学生に対しては、先輩アドバイザー
      • 履修生の授業への出席を促進
  • 学外との渉外担当(これは授業ですという姿勢を伝える)
  • 活動報告書の作成と提出
  • 木村貴幸氏(政策学部政策学科4年)
  • プロジェクト科目「音楽は心の薬」の受講生(2013)で、「伏見地域活性化プロジェクト」のSA(2014)
    • 2014年度プロジェクト科目春学期成果報告会では、前者は特別賞を、後者は優秀賞を受賞(すごい)
  • SAは自分で仕事を作らなくてはならない
  • 伏見プロジェクト
    • 伏見稲荷への観光客が少ない理由は?という問いを立てる
    • 仮説を検証する(英語表記の看板が少ないからでは?という仮説のもと、フィールドワーク)
    • 結論を導き、対策をたてる(海外の観光客にとって楽しみ方がわかりづらい→イベントを実施)
  • SAは俯瞰的な視点
    • 学生を見る視点:仲介、ファシリテーター、準備、情報提供、メンタルケア
    • 先生を見る視点も含まれる
    • ルーティン・ワークではない、先生や生徒のカラーによっても仕事がかわる
  • よくある課題
    • 時間が足りない(主体性の高まりが遅い)
    • イベント屋になる(学術的なとりくみになっているか、授業外のインプット不足)
  • 授業時間外の使い方
    • リサーチを個人作業、授業で全体作業
    • インプットが不足、SAの支援
    • チームの人間関係
    • 成果報告会で次年度のSAに引き継ぐ
  • 学術性を高めるインプット
    • プロジェクトを通じて座学の重要性が分かる
      • 資料集め、資料の読み込み
    • 人文系のプロジェクトはなんとなくでも出来てしまう側面がある
  • SAはサービスエリア

第2部<学生によるパネルディスカッション>

全文書き起こしは難しかったので、要点と印象に残った点をまとめます。

  • 受講生間にある熱量の差について
    • 学生間の関係性をよくするように立ち振る舞う(寄り添う)
    • 関わる期間が長いのか、短い(半期)のかにもよってできることが変わる
    • メンバーをTA的な存在に育てる
  • 科目への関心・愛着
    • メンバーへの愛着がプロジェクトへのモチベーションにつながることも
    • ミーティングを重ねるだけでは溝が広がることも
    • それ以外で補う(インフォーマルコミュニケーション)
    • 一人ではできない課題設定(チームでやろうという動機付け)
    • 自分の守備範囲外をフォローできないが、学生自身がたてた問いは学生は愛着を持つ
    • 関心や愛着の差を「違う視点を知る機会」を捉える。発言の少ないひとに質問をし、傾聴することでチームはよくなる
  • 支援者が「問いかける問い」とは。質問の質とタイミングの重要性に気がつくきっかけ
    • 何かを質問することは恥ずかしくない、と思わせる
    • 学生に問いかけて返答があり、さらにその学生が苦手を克服した時。そもそも「何が分からないかが分からない」
  • 議論の場とは「信頼関係」「安心」のこと
  • 支援者としての自身の振り返り・フィードバック
  • 支援者の経験がどう生きるか
    • 教員志望の学生にとってはプレFD
  • 何をどこまで関わるか、寄り添うだけでは足りない
  • 学習支援者は何と何をつなぐか
    • 大学と臨床現場(堀井氏)
    • メンバーとリーダー、メンバーと教員(吉田氏)
    • 学生と学び(山本氏)
    • 義務感と気持ち(木村氏)
  • 学習支援者の経験の汎用性
    • 反転授業に生かせる?”普通の授業”には活かせられない??
    • ノートの取り方
  • 学習支援者は支援者であり、学生であり、「評価者」
    • 支援者である学生の成長がその証
感じたこと

もう、すでに冒頭でも書いたが、学ぶことはそもそも楽しいことなんだと改めて思いました。発表されたみなさん、とてもキラキラ楽しそうでした。アクティブ・ラーニングは、それに気がつく授業のひとつのあり方なのかと思いました。これを自分に引きつけて考えると、初年次に「大学ってすごい!」という期待感を抱かせる一端を担えるようなしかけを、できたら面白いかなと。

また、学問的足腰の強さが大切になるということは、特に聖路加国際大学の堀井さんと、同志社大学の木村さんが直接、言及されていましたが、何か(プロジェクトなり何なり)を動かすには、その基礎知識が必要になり、それには授業外の自学が欠かせないという点です。図書館的には後者にコミットする割合が多いのかと。