SCONUL returnについてのメモ
いくつか気になるキーワードを調べる短め記事シリーズ。
前回がCOUNTERを概観したので、今回はSCONULreturn。
Society of College, National and University Libraries (SCONUL)は、英国・アイルランドの国立大学および国立高等教育機関の図書館協会。
SCONUL | Society of College, National and University Libraries
そのSCONULに各大学(機関)が年に一回、報告しているのがSCONUL return。SCONULへの報告として、2004-5年から(2003-4年について遡って)電子情報資源の利用統計についての質問が追加された。*1
邦訳があったので(ありがたい)それを参照する。ちなみに原文へのリンクは切れている。
邦訳:SCONUL 加盟館の電子情報資源(e-Resources):統計が私たちに教えるもの
これによると、論文フルテキスト要求(Full-text Article Requests)と、電子ブックのアクセス数( E-book Accesses)という 「電子尺度」が追加された。これは、2003-5年にかけて行われた、「電子尺度プロジェクト(e-measures project)」の調査結果にもとづいている。電子尺度プロジェクトとは、
2003年から 2005 年にかけて HEFCE-funded Libraries: Outcomes and Measuresproject.の一部として中央イングランド大学のエビデンス・ベースが25の大学図書館と共に行なったプロジェクト。図書館の意思決定と利用者支援に援助し、電子情報サービス用の最新の一連の統計指標と尺度を開発し、SCOUNL と共同で電子情報サービス用の標準的なパフォーマンス指標として、高等教育図書館セクターでテストし、修正し、展開することを目的としていた。
http://www.ebase.uce.ac.uk/emeasures/emeasures
HEFCE(Higher Education Funding Council)とは、英国の高等教育機関への基盤的な経費を配分機関である。英国にはこのような助成機関がいくつか存在する。主たるものがRCUK(Research Counsils UK)とHEFCE。ほとんどが競争的配分であり、前年度の評価に基づいて各部局ごとに交付されるのが基本らしい。
電子尺度プロジェクト(e-measures project)とはCOUNTERとも関係する。COUNTERは2002年に設立されている。COUNTERの存在が彼らのプロジェクトを促進させるようであり、またCOUNTERに一致するようにも進められた*2。
報告書でも指摘されているが、出版社やアグリゲータによって入手できる数値が異なっている、そもそもデータが入手できないという問題点も指摘されていた。
現在、SCONULreturnへはどのような統計データを報告しているかというと、JUSP上で専用のメニューとして用意されている。
報告用に学年暦であらかじめ期間がセットされ、COUNTER JR1に準拠したフルテキスト要求数がダウンロード可能。CSVでダウンロード可、JUSPにない出版社分はJR1形式で追加することで、SCONUL return用に簡単に編集できる、らしい。アグリゲータ系(ingentaconnect (Publishing Technology), SwetsWise and Ebsco EJS)は別メニュー。
*1:Conyers, Angela. e-Resources in SCONUL member libraries: what the statistics tell us. SCONUL Focus, No.36, Winter 2005, p.65-67.
*2:Conyers, Angela. "Usage statistics and online behaviour." Electronic Resource Management Handbook (2006) http://dx.doi.org/10.1629/9552448-0-3.2.1
Free UKSG webinar - COUNTER for Librarians
UKSG(United Kingdom Serials Group)が行っているwebinarを受講したので記録を兼ねて。
テーマはCOUNTER(Counting Online Usage of NeTworked Electronic Resources)について。ざっくりした理解では電子リソースの利用統計の国際標準である。2003年から始まり、現在の最新版はCOUNTER4。
COUNTERについて日本語で読める文献をいくつか。
CA1512 - 動向レビュー:電子ジャーナルの出版・契約・利用統計 / 加藤信哉 | カレントアウェアネス・ポータル
ci.nii.ac.jp
ci.nii.ac.jp
出力できるレポートは、標準13種類、オプション10種類。
おおまかにJournal, Databases, Books and Reference Works, Multimedia, Reports for a Library Consortiumの4つの利用統計レポートがあり、さらにその中で細かく分かれている。例えばJournalの場合...
Report | Description Status | Status |
---|---|---|
Journal Report 1 | Number of Successful Full-Text Article Requests by Month and Journal | Standard |
Journal Report 1 | GOA Number of Successful Gold Open Access Full-Text Article Requests by Month and Journal | Standard |
Journal Report 1a | Number of Successful Full-Text Article Requests from an Archive by Month and Journal | Optional |
Journal Report 2 | Access Denied to Full-Text Articles by Month, Journal and Category | Standard |
Journal Report 3 | Number of Successful Item Requests by Month, Journal and Page-type | Optional |
Journal Report 3 | Mobile Number of Successful Item Requests by Month, Journal and Page-type for usage on a mobile device | Optional |
Journal Report 4 | Total Searches Run By Month and Collection | Optional |
Journal Report 5 | Number of Successful Full-Text Article Requests by Yearof-Publication (YOP) and Journal | Standard |
最初にUKSGサイトで受講の登録をして、その時間帯(日本時間で何時かも分かるようになっている。この時は22-23時だった)になったら、スライドと音声による解説が始まる。チャット(らしきもの?)で質問も受けれるようだった。
ライブラリアン向けのCOUNTER入門ということで、最初にCOUNTERの概略が説明され、次にその重要性として
- 異なる出版社間での比較が可能
- 専門的な高度な知識を必要としないレポート
- 操作性の高く分析しやすいデータ
電子リソースのライフサイクルに置いて、重要な位置をしめる「Evaluation」にCOUNTERは、電子リソースの購読・中止・更新の検討材料となる。それはユーザ(学生?)の満足度の向上へとつながる。
ただし、COUNTERレポート自体は、購読有無は加味せずに表示される。利用が0なのか非購読なのか、利用があったものについてもOAオプションによるものなのか購読によるものなのかは、レポートそのものからは読み取ることができない。
利用を継続して観察すること、利用数から単価を算出すること、アクセス拒否数などを総合的に判断することで、よりより評価が達成できる。
COUNTERという標準はあるものの複数の出版社から利用統計を集計することは煩雑になる。そこで…というながれで登場したのが、JUSP(Journal Usage Statistics Portal)。電子リソースの利用統計のポータルサイトサービスである。
JUSP :: Journal Usage Statistics Portal (Cloud)
JUSPについてはささっと触れられていた。
利用統計は電子リソースを評価するただひとつの方法としながらも、ニッチな需要、教育・研究方法の変化、ディスカバリーの重要さ((電子ブックは時に埋もれてしまっているという指摘もあった))、広い視点も考慮する点も指摘された。因果関係と定性データとともに利用統計を扱いましょうという締めで終わった。
Cited References Explorer(CRExplorer)を触ってみた
Web of Scienceからダウンロードしたデータを分析するソフトウェアCRExplorer公開 | カレントアウェアネス・ポータル
昨年のことになるが、Web of Scienceの分析・可視化ツールが公開された。Web of Scienceのデータ自体は自分で取得しなくてはいけないが、細かな技術知識無しに始められる手軽さがある。
まず、Cited References Explorerのサイトに行き
CRExplorer - Cited References Explorer
1もしくは2の方法で、Cited References Explorerを立ち上げる。
Web of Scienceから取得するデータを抽出する
今回は仮に、ということで2種類のデータをダウンロードした。
1.NEJMのLETTER
検索項目: 出版物名: (new england journal of medicine)
絞り込み: ドキュメントタイプ: ( LETTER )
タイムスパン: 2015-2015.
合計709件(2016.4.3)
2.NEJMのREVIEW
検索項目: 出版物名: (new england journal of medicine)
絞り込み: ドキュメントタイプ: ( REVIEW )
タイムスパン: 2015-2015.
合計299件(2016.4.3)
マークリストに追加した後にダウンロードした。
WoSの検索結果画面表示が最大50件なので、1000件を越えるとしんどいなぁという感じがする。
また、一度にダウンロードできる件数が最大500件なので、何回かに分けなくてはならない。やはり、一度にダウンロードするのは1000件未満が良いのか。(CRExplorer自体はデフォルトの最大インポートは10万件なので、他によい方法があるのかもしれない…)
ファイル形式は「他のファイルフォーマットで保存」>「テキスト」
出力項目は全項目。
Cited References Explorerにデータを読みこませる
709件が引用した1985件がグラフ化する。
被引用文献に出版年フィルターをかけたり、項目ごとにソートをかけることができる。
任意のデータや、出版年を取り除くことも可能。
左側のグラフは画像保存、右側のデータもcsvで保存可能。
LETTER(1991年以降)
REVIEW(1991年以降)
単純にグラフを生成するだけでも、REVIEWの方が幅広い年を引用している(だからこそのREVIEWなのだけど)ことが見て取れる。
また、709件で1985件の引用論文に対して、REVIEWは299件で2886件の引用論文と、1論文あたりの引用文献数もREVIEWの方が多い。
その他、Merge Cited References of the Same ClusterやCluster equivalent Cited Referencesによって、データ内の同一データを発見したり、マージすることができる。同一データの判定はレーベンシュタイン距離による、らしい。
CRExplorerに読み込むとClusterIDというものが付与される。これを使うことで表記のゆれを集約できる(赤い四角)…のか?
このClusterIDは、Standardization>Cluster equivalent Cited Referencesを使うことで、レーベンシュタイン距離(上記の青い丸)、Volume、Page、DOIごとに変更することもできる。
また、任意の複数文献を選択して、Same・Different・Extractを指示し、ClusterIDを変更・修正することもできる。Differentを指示すると異なるsub-ClusterIDが割り当てられる。Extractを支持すると同一だったsub-ClusterIDから切り離される。Sameは同じsub-ClusterIDが割り当てられる。
例えばID=111を選択し(ClusterID=109/109であり、同一ClusterIDは3件)、Extractをクリックすると
sub-ClusterIDが、109→111に変わり、ClusterID=109/111となる。
自分が触ってみて理解できたところまでしか書けていないが、もう少しできるようになると面白いかもしれない。
『情報の評価とコレクション形成』(わかる!図書館情報学シリーズ第二巻)
長いタイトルになってしまったが、最近よんだ1冊。
情報の評価とコレクション形成 (わかる! 図書館情報学シリーズ 2)
- 作者: 日本図書館情報学会研究委員会
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
ここ数年のうっすらした自分のテーマのひとつに、評価があった。図書館に関係すると、コレクションの評価になるのかもしれないけれど、もう少し広い視点から論じたものはないかなぁと思って読んだのが『情報の評価とコレクション形成』。9名の著者によるオムニバス講義のようになっている。
第1部 情報の評価
第1章 利用者の視点にもとづく情報と情報源の評価 齋藤泰則(明治大学)
第2章 学術情報の評価 小野寺夏生(筑波大学名誉教授)
第3章 ウェブ情報源の評価 佐藤翔(同志社大学)
第4章 蔵書の評価と資料選択 大場博幸(文教大学)
前半のテーマが情報の評価である。1章ではまず、「情報要求を充足し評価されるとはどういう状態なのか?」という問いに対して、適合性、迅速性、利便性といった評価基準を細かく整理しなおすところから始まる。OCLCの図書館の情報源とウェブの情報源の比較調査などを引用しながら、利用者の視点からの評価基準について展開する。次に適合性について、問題解決において情報源を適合性で評価する際に、利用者の認識に応じて変化するということが指摘される。それを受けて、レファレンス(インタビュー)を取り上げ、利用者の不確定性を縮小する点を数量化した。ある情報要求Aとそれに対する情報B、Bに一定の評価をつけられる…ということだけではなく、インタビューにおいてAが変化することで、適合性もまた変化するということが示された。
2章では、情報を学術情報に絞り込み、評価の目的を(1)よりより研究成果を出すための支援(2)重要な情報の選別(3)研究管理(4)学術情報流の高度化・効率化の4つに分類した。学術情報の計量データを用いた評価の代表例として、論文数、被引用数/論文閲覧数、オルトメトリックスを取り上げそれぞれの特徴や課題などを整理した。
3章は内容ではなく媒体で切り分るというアプローチがされている。ウェブ情報源を信憑性(信頼性+専門性)、安定性、評判、依拠可能性の観点から評価基準を整理し、具体例としてウィキペディア、Q&Aサイト、SNSを取り上げた。つづく4章も媒体からのアプローチであり、蔵書評価と選書という物理体がテーマになる。まず、既存の評価基準であるチェックリスト法、蔵書新鮮度、入館者数と貸出数の概要と課題が紹介され、後半は資料選択について、主に公共図書館を具体例に理念について議論が展開される。
第2部 コレクション形成
第1章 コレクションとは 安井一徳(国立国会図書館)
第2章 日本の図書館のコレクションの現状 大谷康晴(日本女子大学)
第3章 学校図書館のコレクション形成 河西由美子(鶴見大学)
第4章 大学図書館のコレクション 佐藤義則(東北学院大学)
第5章 文書資料と文書館・アーカイブズ 古賀崇(天理大学)
後半はコレクション形成がテーマになっている。まず、1章で図書館コレクションの概論が展開される。電子環境下においてもコレクションは自明ではなくなるにせよ、コレクションが持つ役割が変わらないという指摘がされる。「コレクション「である」という静態的な認識から、コレクション「にする」という動態的で構成的なアプローチ(p.106)」がコレクションに起こり、ディスカバリーやPDAなどがそれを支えるという。
2章では、カーリルとWebcat Plusを使った日本の図書館の所蔵状況を調べた大規模実態調査の報告である。章の最後に、所蔵調査を定期的に行うことで廃棄状況がわかると箇所を読んで、面白いなぁと思った。受入基準よりも廃棄基準が難しいというのを最近、感じている。
3章は学校図書館、4章は大学図書館のコレクションについて。3章はあまり読み込めていないが、これを読んではじめて「学校図書館図書標準」のことを知った。
4章の大学図書館については、電子資源を扱うことがもっとも多いためか、電子的コレクションにかなりを割いてある。前半は伝統的なアトキンソンのによる大学図書館が果たすべき機能(報知、資料、歴史、教育、書誌)を整理し、これらの5項目自体は変わらないものの、電子的コレクションの導入により、それぞれの機能のあり方は変化しているという。電子ジャーナル、ライセンス契約、ダークアーカイブ、オープンアクセス、電子書籍などの先には、図書館を超えたコレクションの組織化(HathiTrust、GoogleBooks、Internet Archive,、NDL図書館送信サービス、分担保存)が誕生し始め、図書館単独ではなく、集合的に課題を解決する努力が求められている。ちなみに本筋ではないが、電子的コレクションの強みの一つはログが取れるという点だと思う。コレクションが館内だけでなく、外部への仲介機能を含めたものへと変化するのであれば、統計やログデータのあり方や活用方法も変化するのだろうか?
最後は文書資料について。図書館で文書資料を扱う割合は小さいにせよ、それは貴重資料や特殊コレクションとして所蔵されていることは少なくない。文書資料が持つ様々な特徴、種別、整理における原則(出所ごとにまとめておく等)について端的に紹介されている。
「カリキュラムのキーワードを利用した分野別選書基準について―亜細亜大学図書館の試み」(人文会News No.121より)
半年前のものだけど、最近、紹介していただいて読んだもの。本文は公開されている。
著者の大石さんは、1996年に選書委員会に関わるようになり、1999年に教員からされた「選ぶ際のキーワードを教えて下さい」というエピソードをきっかけに選書や選書基準を考えるようになったという。
この関心が大きく動くようになったのは、2004年に分野別選書基準の作成をはじめたことだった。『ALA蔵書の管理と構成のためのガイドブック』(1995/原書は1994)のレベル表を参考にレベルをさだめ、カリキュラムをNDCに分類、そこからキーワードを切り出して、基準を作成したそうだ。カリキュラムの改訂、教員の交代、学部の新設などにあわせ、キーワード・レベルの見直しを行っている。
選書作業は学部ごとに6名が担当し、週1回会議を行って進められている。本文では作業順序や図書ごとの作業が細やかに説明されてた。大学の学部構成や図書館が本館1つという特徴もあるので、全てを真似することはできないが、(おそらく非言語されていたであろう)事例が紹介されているのが新鮮で、あらためて選書を考える機会となった。
最後に触れられていた「選書+除籍=選書基準」というのはとても腑に落ちた。除籍するときの方がより難しいなぁと最近は、考えている。
別の大学の話。まったく選書とは関係ない調べものをしていたときに、愛知淑徳大学図書館さんのホームページが目に止まった。
愛知淑徳大学図書館 Aichi Shukutoku University Library
「愛知淑徳大学図書館は、カリキュラムにそったコレクション(情報資源)を揃えて、学習・研究をサポートします。」という一文が潔くてかっこいい
情報組織化研究グループ月例研究会「東アジア地域における書誌コントロールの動向に関する国際フォーラム」
日時:2016年1月9日(土)
発表者:
夏 翠娟 氏(中国・上海図書館システム・ネットワークセンター)
「中国における書誌コントロールの現状:特にBIBFRAMEとLODに注目して」朴 志英 氏(韓国・漢城大学知識情報学部)
「韓国における書誌コントロールの動向:RDA, BIBFRAME, LODを中心に」渡邊 隆弘 氏(日本・帝塚山学院大学)
「日本における書誌コントロールの動向:目録規則を中心に」パネルディスカッション「東アジア地域における書誌コントロールの動向と今後」
パネリスト:夏 翠娟 氏,朴 志英 氏,渡邊 隆弘 氏
コメンテータ: 木村 麻衣子 氏(学習院女子大学)
※追記あり
http://josoken.digick.jp/meeting/2016/201601forum_flyer.pdf
日中韓の3名から各国の書誌コントロールの現況を紹介いただいた。
各発表には、LOD、BIBFRAME、RDAが共通するキーワードとしてあげられている。発表の導入として、田窪さんからそれぞれの説明がされた。
LOD(Linked Open Data)とはデータのウェブ、と定義できる。普段、目にするインターネットサイトが「文書のデータ化」だとすると、LODはリンク関係の意味が分かる(=セマンティックリンク)ため、コンピュータで活用できる。
BIBFRAMEとは、RDF方式でマークアップされたものである。MARCフォーマットのマークアップ方式が現在の状況にそぐわない点も多い。FRBR化されているかは意見が別れるそうで、ある面では、BIBFRAMEはよく分からない子らしい…
RDA(Resource Description and Access)はAACR2の後継と言われている。あくまで規則ではないので、完全な意味では後継とは言えない。FRBRにもとづき、その影響は英語圏を越えてデファクトスタンダードになっている。
中国における書誌コントロールの現状:特にBIBFRAMEとLODに注目して
- 中国の現状
- 目録規則について、中国語文献は『中国文献目録規則』、西洋言語はAACR2とRDA
- 『中国文献目録規則』はRDAを踏まえて改訂予定(詳細は未定)
- CNMARCは公共・大学でも使用している
- 媒体ごとに国家規格(GB/T~)
- 目録規則について、中国語文献は『中国文献目録規則』、西洋言語はAACR2とRDA
- MARCについて
- UNIMARCにもとづく
- 1992年:CNMARC
- 中国語文献はCNMARC、西洋言語についてはMARC21
- 目録規則について
- DCについて
- デジタル図書館標準・規格建設プロジェクト(中国科学技術部重要プロジェクト=科技部重大项目)
- 参照できるサイトはこれだろうか?→http://www.nlc.cn/newstgc/
- CALISと国家図書館も上記の基準に倣う
- デジタル図書館標準・規格建設プロジェクト(中国科学技術部重要プロジェクト=科技部重大项目)
- RDAについて
- 中国ではRDAに関する論文が400くらいあるらしい(2014年以降)
- cnkiで主題を「RDA」にすると2015(223), 2014(221)
- 2013年:上海図書館がOCLCに参加
- 2014年:CALIS联合目录RDA实施声明
- 2015年:CALIS联合目录外文编目RDA政策声明
- 日露以外の外国語文献の目録作成にRDAを適用するようという呼びかけ
- 中国ではRDAに関する論文が400くらいあるらしい(2014年以降)
- インター年と時代の書誌コントロール
- LODについて
- 典拠データの研究>書誌データの研究
- データ公開が目的ではなく、書誌データの構造化が主たる目的
- BIBFRAMEについて
- 中国での評価は様子見
- RDAとの関係性が曖昧
- CNMARCからBIBFRAMEに変換しにくい
- CNMARCはUNIMARCにもとづいている。一方、アメリカなどの先行研究はMARC21からの変換がほとんどなので参照例が少ない
- 上海図書館のとりくみ
- 2014年:家譜
- 家譜のデータ化により、著者の親類関係についての新発見も(デジタル/ヒューマニティの実践)
- 家譜のデータ化は、家譜同士のデータ化or家譜内のデータ化なのか?という質問が渡邊先生から出たのですが、回答をうまく理解できず。。
- 家谱文献地图 - 上海图书馆
- BIBFRAME2.0にもとづき、他の基準(FOAF、Schema.org、Time、GeoNames)を吸収=オントロジーのデザイン
- 2015年:盛宣怀档案
- 2015年:公共数据集(公共データ)
- 2016年:规范(典拠データ)
- 2016年:书目(書誌データ、5月予定)
- 図書館以外の研究者によるデータ編集ができるプラットフォーム
- UGCによるクラウドソーシング式インデキシングプラットフォーム
韓国における書誌コントロールの動向:RDA, BIBFRAME, LODを中心に
- 目録規則について
- MARCについて
- 国立中央図書館資料組織研究グループ
- KORMARCウェブ版
- RDAに関する調査と分析、翻訳を担当
- 韓国図書館協会と将来的な協力を予定
- LODについて
- 国立中央図書館による、書誌、典拠、著者データのLOD化
- KORMARC,MODS,DVMSデータをRDF化
- 2015年12月より、所蔵館検索、KDC主題検索、地図上での所蔵館表示
- 日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)
- 韓国LOD発行機関協議会
- 韓国内の主要LOD機関のデータ連携
- Linked Dataオントロジーの構成
- BIBFRAMEについて
- 国家レベルでの活動はないが、研究・検討がされている
- 参考:朴志英. 2013. 次世代書誌記述としてのBIBFRAMMEのモデル研究. 韓国情報管理学会学術大会論文集. 101-104
- 朴さんの現在の研究は、公共図書館のローカルデータを使用して、図書館の情報サービス履歴と書誌情報の構造化・共有
- ローカルデータとは、展示会・読書会・レコメンドなどのそれぞれの図書館で行われたイベントのデータ
- 参考:박지영. 2015. BibFrame 모형을 이용한 공공도서관 로컬데이터와 서지데이터의 연계 방안. 2012~2014년도선정 인문사회분야 신진연구자지원사업 결과보고서 제출대상자
- 高久さんから、ローカルデータの標準化について質問があった。朴さんから、試験的にローカルデータをテーマ別にタイプ分けしたことがあるとの回答があった
- 国家レベルでの活動はないが、研究・検討がされている
日本における書誌コントロールの動向:目録規則を中心に
- 日本のおける書誌コントロールの現状
- 日本目録規則について
- 新NCRについて
- NCR改訂作業は、日本図書館協会目録委員会(2010-)と国立国会図書館収集書誌部(2013-)
- 2017年新規則を公開予定
- サイトで条文案を公開中
- FRBRを基盤とする
- 典拠コントロールの位置づけの明確化
- 著作の典拠コントロールの徹底
- 資料の物理的側面と内容的側面の整理
- 関連の記録重視
- RDAへの対応重視
- 資料種別ごとの章立てはとらない
- エレメントの増強
- 語彙リスト
- コーディングは規則に含まず
- 日本における出版状況を配慮してRDAと異なる箇所もある
- 新NCRにあたって、著作の典拠コントロールの徹底、何を作成者とみなすかが課題
- フロアから作成者について、著作権との関係を指摘されていた。この辺りはRDAも避けているとか
- 「目録規則」という名称は残す?
- FRBRについて
- 発表直後から一定の注目
- ICP(国際目録原則)
- IME ICC4(2006,ソウル)に参加
- 国際目録原則覚書(日本語版)
- RDA
- ワークショップや紹介書籍が発行
- 適用はNDLにおける洋書のみ
- 日本における書誌フレームワーク
- BIBFRAMEについて
- 紹介や問題指摘の論考がある程度
- 新NCRの運用に向けてフレームワークを定めなくてはならない
- NACSIS-CATは2020年にシステムの大規模見直しを予定
- LODについて
- 国立国会図書館
- 国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013)
- 使う・つなげる:国立国会図書館のLinked Open Data (LOD) とは | 国立国会図書館-National Diet Library
- NDLサーチ(書誌データ)、Web NDL Authorities(典拠データ)、ひなぎく(震災関連データ)
- 国立情報学研究所
- 個別機関での今後は?
- 目録規則側での対応は?
- 国立国会図書館
東アジア地域における書誌コントロールの動向と今後
木村さんから全体のまとめ。各国の発表の概要、RDAだけでは目録は作れない、LOD化する流れ、その一方でBIBFRAMEはまだこれから。そして、合理化・効率化の流れ=楽になることではない、考えること増えていくということが指摘された。
発表者同士の質疑応答は、中国語で質問→日本語に翻訳→日本語で回答(朴さんは日本語で発表されていた)→中国語に翻訳という、流れだったのでところどころ文意が取れていない箇所もあるので、ご容赦ください。
◯夏さんに寄せられた質問
◯朴さんに寄せられた質問
- 2011年にLOD化したとき(BIBFRAME発表前)のモデルはFRBRにもとづいているか?→インスタンス(manifestation)にもとづいている(ここの文意が取れず…)
- 典拠コントロールは同期されている?→書誌と典拠データは手作業
- 典拠データ・同姓同名はどうのように同定しているか?→生没年、漢字、ハングル、時代、父母名、職名、贈り名(古典籍は著者コントロールは限界があるのかもしれない…)
- オントロジーと書誌コントロールとの関係は?→全体の枠組み(構造化)と関係、スキーマとほぼ同義(ここの文意が取れず…)
オントロジーについて、質問をされたのは渡邊先生だったのだが、中韓の発表ではオントロジーという用語が登場し、日本では書誌コントロールの文脈ではあまり聞かない。フレームを、スキーマを作ることとどのような関連があるのか?という内容だった。お二人の回答を受けて、エレメントのRDA化とオントロジーは通じているのではないか、エレメントの定義をコンピュータに理解させているのではという補足があった。
木村さんから、RDAとBIBFRAMEの課題は典拠データの不備であり、特に統一書名典拠が課題になるという指摘があった。渡邊先生からは、日中韓に共通する課題として古典籍を指摘し、古典籍はRDAでカバーできるのかという疑問が出された。FRBR化するには統一タイトルが必要。現行は日中韓とも本タイトルを統一タイトルとみなしていることが多い。夏さんから中国で統一タイトルの典拠作成を進めているとの紹介があった。フロアから、国文学研究資料館の事例が紹介され、古典籍は突き詰めると「昔のものはよく分からない」となってしまうらしい。国文学研究資料館では統一書名タイトルを作って公開しているが、それには専門家に確認するが伴うことも。
フロアからの質問に、日中韓でLODを通じて共有できないか、図書館コミュニティのみならず博物館や研究者などの図書館外で活用できる可能性について、言及があった。その他に古賀先生から、著者名典拠についてORCIDのような研究者でコントロールする可能性について質問があった。夏さんからCNKIで著者情報とh-indexの連携、百度学術、北京大学で固有識別子を与える試みもあるとの回答があった。
質疑応答のなかで「この大量のデータで何をしたい?」という問いかけがあった。夏さんからEric Millerの「From MARC to BIBFRAME / What could we loss? What would we get?」という言葉が紹介された。
Article Sharingについて(ユサコニュース 第267号 論文共有をめぐる出版者の動向より)
ユサコニュース(11月)を(いまさら)読みながら、面白い特集だと思った。
ビッグディールが揺らぎ始めたり、インターネットインフラの益々の強化だったり、(デバイス等の)共有化・個別化が進んだり、色々な要因が影響しているとは思うけど、研究者の間の論文共有。先日、こんなニュースを聞いたばかり
ユサコニュースで取り上げられていたのは、このような動きを受けて、国際STM出版社協会がどのようなことをしているかというものだった。
国際STM出版社協会
曰く、論文共有に研究者がよく利用しているプラットフォーム(SCNs:Scholarly Collaboration Network)と)は、Academia.edu、ResearchGate、Mendeley。Mendeleyは文献管理ソフトじゃ?とおもいきや、それ以外(以上の?)活躍を果たしているらしい。これは当初から研究者のSNS的だと言われていたことからも伺える。
私自身が肌身で実感したのは3年位前だったように記憶している。「分野にもよるが分母の大きいところだと、検索エンジンとしても使える。PDFもダウンロードできる」というような使い方を当時の院生から教えてもらった。
文献管理ソフトと論文共有の動きは、Mendeleyだけではない。
ユサコニュースの続き。この国際STM出版社協会で発表された声明は下記の通り。
これは2015年の2月に、SCNsワーキンググループが、SCNsでの論文共有における自主的な原則案を公開しコメントを募集した上で、同年8月に改訂版が発表されたもの。
国際STM出版社協会、学術的なネットワークにおける自主的な論文共有の原則案を公開し、意見を募集 | カレントアウェアネス・ポータル
そこには、SCNsワーキンググループ議長のFrederick Dylla氏(AIP)によるスライドが公開されている。
Voluntary principles for article sharing on scholarly collaboration networks
そこで、図書館への言及があった。ユサコニュース(翻訳済み)をそのまま引用すると、「出版者と図書館は提供サービスの利用者の傾向や提供サービスの質評価のためにもCOUNTERなどの標準規格で共有のタイプや総量を把握できるようにすべき。」とある。
思ったことは2つ。1.アーカイブや所有(契約含め)への言及がない、2.利用統計を活用する可能性、である。
1つめは研究者による論文共有についての指針なので、まぁそうなのかもしれない。2つめは各図書館が持っているであろう利用統計にはどんな使い方があるのだろうか、ということ。
利用統計の活用でいちばんに思い浮かぶのは、契約の時である。これについて、今年度のNII実務研修に参加された浅野ゆう子さん(筑波大学)のテーマ「電子リソースの利用統計の収集・管理および活用方法に関する調査」が近いなぁと思って拝見させていただいた。
教育研修事業 - 国立情報学研究所実務研修 - 過去の記録 - 平成27年度
その他にあるとしたら何だろう?機関リポジトリはダウンロードランキングなどを発表されているところも多い。電子リソースではないけれど貸出ランキングもある。各機関の利用統計をオープンにする日も来るのだろうか?それをオープンデータ化する日も来るのだろうか?
閑話休題。
Elsevierが出版者版を機関リポジトリに掲載することが認めたり、
www.elsevier.com
WileyがArticle Sharing Policyを発表したり、
Article Sharing Policy - Wiley Online Library
上記のNatureの動きだったり、これからどんどん出版社の動きも見えてくるのかなと思った。
2016.1.9追記
コメントで「STMの動きがElsevierの新ポリシーの引き金だった」をいただいた。
自分用にメモ